MUSIC

2011.10.28 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第18回 「ハート・オブ・ドラム!」
Ringo Starr

本名 Richard Starkey

2009年9月9日は、The Beatlesの全ての音源が最新の技術でデジタルリマスターされ、発売された記念すべき日だ!The Beatlesの音源はほとんどがアナログレコード盤で持っているため、そろそろCDで買い直したほうがいいんじゃないか?と真剣に考えていたのがちょうど連載第10回、第11回目のThe Beatlesを取り上げた頃。そんな中このニュースを聞いたので、オレの心はワクワク、ドキドキ、その喜びようと言ったらハンパなかった。今回はそんなThe Beatles、デジタルリマスター盤の発売を勝手にお祝いして、世界で最も有名なドラマー、そしてオレがもっとも好きなドラマー、The BeatlesのRingo Starrを取り上げてみよう!

1940年7月7日、イギリスのリヴァプールに生まれる。現在71才。Ringo Starrという名前はもちろんニックネーム。本名はRichard Starkeyなので幼少期は「Richie」という愛称で皆に呼ばれていたという。では「Ringo Starr」という名前はどういう風に付いたのだろう。The Beatlesに加入する前に所属していたバンド「Rory Storm & The Hurricanes」のリーダー、Roryがステージ上でメンバー紹介のときに指輪好きのRingo Starrのことを「Ring!」とか「Rings!」と呼んでいたのが始まりのようだ。その「Ring」「Rings」が転じて「Ringo」となり、「Ringo Starkey」ではゴロが悪いというところから、「STARKEY」の「KEY」をとって「R」を増やして「STARR」になり「Ringo Starr」と名乗るようになったとのこと。


そんな名前の由来もさることながら、Ringo Starrといえばあのドラムだ!躍動感に満ちあふれていて、「ドラムが歌っている」という表現がピッタリとくるあのドラム!本当に大好きなドラマーだ。じゃあ、あのドラムの感じの秘密は一体なんなのか。一つにはもともと左利きなのに右利きのドラムセットを使っているというのが、Ringo Starrという人のドラミングをユニークで個性的なものにしているのは間違いないだろう。アルバム「SGT. Pepper's Lonely Hearts Club Band」に収録されいるRingo Starrの歌う名曲「With A Little Help From My Friend」という曲の1番と2番の間にあるタムタムとフロアタムを使った2小節のフィルイン。聴いた感じはなんてことないフィルインなんだが、いざ同じように叩こうとすると「ん!?」という手順になっていたりするのがおもしろいところ!オレの場合は利き手が右手なので、無意識に右手を行ったり来たり動かそうとするのだが、ここでの手順は常に左手がタムタムとフロアタムを行ったり来たりするようになっている。これはもともと左手が利き手のRingo Starrならではといったところだろう。なので、右利きの人間ではなかなかああいったフィルインに自然にはならないのだ。昔のライヴの映像や、TV番組で演奏しているところを見ると、「あれ?」と思うことがよくあるので興味のある方はチェックしてみてほしい。

-SGT. Pepper's Lonely Hearts Club Band/The Beatles-


このアルバムにはいまさら何の説明も必要ないだろう。タイトル曲のレコーディング時にエンジニアのGeoff Emerickがバスドラムのフロントヘッドを外し、着ていたジャンパーを中に入れ、当時では考えられなかった「マイクをドラムの中に入れて録音」したというのは有名な話し。メンバーそれぞれの才能が爆発(特にPaul!)しているが、アルバムハイライトの「A Day In The Life」でのRingo Starrのプレイは必聴だ!!!

もう一つはRingo Starr特有のリズム感。リズムのハネ方というか、8ビートの曲もかなりハネていて、口でいうとすると「ツッツッ、ツッツッ、ツッツッ、ツッツッ」というよりも「ツァーツァッ、ツァーツァッ、ツァーツァッ、ツァーツァッ」とこんな感じに聴こえる。その感じが演奏する曲に躍動感を与えているのは間違いのないこと。Ringo StarrのルーツはThe Beatles時代にカヴァーされた曲の数々を聴くとCountry Musicのカヴァーをよく歌っていることに気づく。このCountry Musicこそが、Ringo Starrのドラミングのポイントだと思えてならない。「Help」や「Act Naturally」「I'm A Looser」「What Goes On」に共通する右手のハイハットワークは、真似しようにもなかなかああいう風にはならないのだ。いわゆるスピード感のあるカントリー・シャッフル。しかもそのノリを出している右手が利き手ではないと思うと、、、ただただ脱帽!

-Help!/The Beatles-


タイトル曲のノリはなかなか出せるもんじゃない。しかもそれを利き手ではない手で叩いているのだから、、、。いい感じでCountry Musicが混ざっているこのアルバムも素晴らしい!

-Sentimental Journey-


記念すべきソロ1作目。プロデューサーはGeorge Martin。全編スタンダードナンバーで構成されているところもRingo Starrらしい。しかもドラムは一切叩いていないと言うのだからそれも驚きだ!1970年3月リリース。The Beatlesのラストアルバム「Let It Be」が発売される直前のこと。

-Ringo-


1973年に発表された3作目。The Beatlesのメンバーがそれぞれの曲に参加しているというのもRingo Starrという人だからなせることだろう。「思い出のフォトグラフ」「You’re Sixteen」など名曲多数収録!


Ringo Starrと聞いて、まず思い浮かぶのはそのキャラクターというか、人間性だろう。親しみやすく、温和な人柄はThe Beatles時代の写真を見ても、本を読んでても、ソロになってからの作品を見ても明らかだ。そしてその人柄が「Ringo Starr」という人の作り出す音楽に出ているのも間違いのないこと。自分の音楽もそうありたいと思う今日この頃。


今回で「ハート・オブ・ロックンロール」は終了になります。


毎月1日に更新しているコラム「MUSIC」をお楽しみください。


ありがとうございました。


初掲載:2009.09.25.
加筆、修正:2011.10.28.