MUSIC

2011.11.15 (Tue)
これもブルース 第18回 「悪魔と取り引きしたブルースマン!」
Robert Johnson

どこで名前を知ったのか?いま思うとはっきりと思い出せない。

「BLUESといえばRobert Johnson!Robert Johnsonを知らずにBLUESを語るなかれ!」

というような言葉が、音楽雑誌のインタビューに載っていたのか、はたまたレコードのライナーノーツだったのか、友達の一言だったのか、なんせ「Robert Johnson」の名前がインプットされたのはちょうど高校を卒業した頃だった。その一言を真に受けて大阪梅田のエストワンというショッピングモールのはずれにあったレコードショップ、ワルツ堂(なつかしい!)に行き、探し当てたのが「KING OF THE DELTA BLUES SINGERS」というレコードだった。

-King Of The Delta Blues Singers-


いかにも怪しげなジャケットなんだが、いろんな本やらインタビューを読んでいるとこのアルバムが発売されたのは1961年とのこと。Keith RichrdsもEric Craptonもこのレコードを聴いてRobert Johnsonを知ったということだった。なぜアルバムジャケットがイラストなのかというと当時はまだRobert Johnsonの写真が存在しなかった、あるいは発見されたが本人ではなかったということがあり、このイラストになったものと思われる。なんせ悪魔との取引で自分の魂と引き換えに、高度なギター奏法、歌唱法を手に入れたという伝説は有名な話しだ。そんな伝説のブルースマンが歌うブルースは、当時18、19才のオレには全然、全くと言っていいほど受け入れられなかった。が、手放さずに持っていたのにはなにか縁があったのだと思いたい。全ての音楽ファンにRobert Johnsonが受け入れられることは間違いなく無いのだが「何かが必要だ」と思っている人には是非とも聴いてみてほしい。

-The Complete Recordings-


このレコードにはRobert Johnsonが吹き込んだ全てのセッション、1936年11月23日、26日、27日、1937年6月19日、20日の計5回、全29曲、41テイクが収められている。このジャケットに使われている写真が発見されたのが1989年のこと。1938年に毒殺されて以来、約50年の歳月が経ちアナログレコードではなくCDとして、自身の写真とともに蘇ったRobert Johnson。27才という若さで亡くなった男の生きざまがその全楽曲とともに詳細なライナーノーツにも記載されているので、そちらも是非とも参照してもらいたい。

とは言えど、もうちょっとわかりやすいのが聴きたいという方にはこちらを。

-Let It Breed/The Rolling Stones-


1969年にリリースされたThe Rolling Stonesの傑作アルバム。Brian Jonesがこのアルバムレコーディング中に脱退するなど、The Rolling Stonesの歴史の中でも激動の頃の1枚。M-2/Love In Vain (むなしき愛)はRobert Johnsonのカヴァー。

-Wheels Of Fire/Cream-


1968年にリリースされたCreamのアルバム。Disk2のM-1/Crossroads Blues (四辻ブルース) はRobert Johnsonのカヴァー。大ヒット曲「White Room」が収録されているアルバム。

-More Real Folk Blues/Muddy Waters-


M-6/Kind Hearted WomanはRobert Johnsonのカヴァー。

-憂歌団/憂歌団-


M-9/カインド・ハーテッド・ウーマンをカヴァーしている。演奏は上のMuddy Watersヴァージョンが下敷きに。憂歌団のみなさん、さすがです。


これもブルース。


初掲載:2008.07.04.
加筆、修正:2011.11.15.
2011.11.02 (Wed)
サディスティック・ミカ・バンド
サディスティック・ミカ・バンド

are

加藤和彦
ミカ
高中正義
高橋幸宏
小原礼
今井裕
後藤次利
つのだ☆ひろ
桐島かれん
木村カエラ

日本のロックバンドの中でも当時としては超ハイセンスな音楽をやっていたサディスティック・ミカ・バンド。関わったメンバーの名前を見るとそれも納得のいくところ。いまこそいろんな人に聴いてもらいたい音楽だ!

-サディスティック・ミカ・バンド-


1973年にリリースされた記念すべき1stアルバム。CD化にともない初代ドラマーのつのだ☆ひろ氏が叩く「サイクリング・ブギ」が11曲目に追加収録されている。1曲目の「ダンス・ハ・スンダ」に始まり「怪傑シルバー・チャイルド」「宇宙時計」「銀河列車」「アリエヌ共和国」などなど、痛快な演奏が続く名盤だ。特に「アリエヌ共和国」のあのノリはなかなか出せるもんじゃない。次回作の「黒船」が有名すぎて1stアルバムの存在がなかなかクローズアップされないが、本当に素晴らしいロックンロールアルバムなので是非とも聴いてもらいたい。

-黒船-


このアルバムジャケット、見かけたことがある人も多いと思う。1974年にリリースされた2ndアルバム。1stアルバムを聴いたイギリス出身の音楽プロデューサー、Chris Thomasからプロデュースの話しがあり作られたのがこのアルバムだ。前作のロックンロール/ブギ路線から、ファンク/フュージョンよりの曲が多く収められているのは当時の流行もあるのだろう。しかし、本当に演奏が素晴らしい!!!!!小原礼氏と高橋幸宏氏、高中正義氏、今井裕氏のリズムセクションが世界的に通用するのがよくわかる。「塀までひとっ飛び」なんかまるでSly & The Family Stoneみたいでカッコよすぎ!!!「タイムマシンにお願い」が収録されているのもこのアルバム。

-Hot! Menu-


1975年にリリースされた3rdアルバム。前作に引き続きプロデューサーはChris Thomas。ベースが小原礼氏から後藤次利氏に。前作からのファンキー路線をさらに押し進めながら「マダマダ産婆」や「オキナワBoogaloo」などワールドミュージックにいち早く目を向けているところもさすがのセンスだ。「ファンキーMahjang」はCarl Douglasの「Kung fu Fighting」を思い出してしまうのもおもしろいところ。残念ながらこのアルバム発表後に解散してしまう。


この他にもRoxy Musicのオープニングアクトを務めた「Live In London」、桐島かれんさんをVo.に迎え再結成されて作られた「天晴」、木村カエラさんをVo.に迎え再々結成して作られた「NARKISSOS」と他にもアルバムが発表されているのだが、まずはこの3枚を聴いてみてほしい。


加藤和彦さんのご冥福を心よりお祈りいたします。


2011.11.02.
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