MUSIC

2012.04.01 (Sun)
Bernard Purdie
「Bernard "Pretty" Purdie」と聞いて思い出すのはJames Brownとのセッション?それともAretha Franklinの伝説のライヴ?いやいやSteely Danでのスーパープレイ?などなど、参加したアルバムやトラック数は、、、オレの理解できる範囲ではない。

今回は60年代後半から70年代にかけて、Jazzのレーベルからリーダーアルバムをリリースしているのでその時代を中心に紹介しよう。

-Soul Drums-


1967年にリリースされた記念すべき初リーダー作!ソロ名義のアルバムではオレも一番好きなアルバムだ!その後「Stuff」を組むことになる、Richard TeeとEric Galeが参加しているところも見逃せない。1曲目のタイトル曲「Soul Drums」から、もう、最高に爆発している!!!インストゥルメンタルが苦手という人にも是非とも聴いてもらいたいアルバムだ。現在、ボーナストラックが8曲追加(幻の2ndアルバム「Soul Finders」の曲のようだ!)されたものが発売されている。

-Soul Brother #1/James Brown-


1967年を遡ること約2年、手元の資料によるとJames Brownとの初セッションはNew Yorkのスタジオで、このアルバムに収録されている「Ain't That A Groove」のようだ。その3ヶ月後にMr. James Brownは大ヒット曲「It's A Man's Man's Man's World」を録音するのだがこの経緯がなんともJames Brownらしい。1964年、タイトルもまだ「It's A Man's World」と「Man’s」が二つも少なかったこの曲を自身のバンドで録音するも、そのテイクがあまり気に入ってなく、1966年になってアレンジャーのSammy Loweに新しいアレンジを依頼。そこでメンバーも前出のNew Yorkのスタジオミュージシャンが集められ、新たに録音されたのが我々がよく知っているテイクだ。タイトルも「It's A Man's Man's Man's World」と変更され、シングル曲として大ヒットする。このテイクのドラムがBernard Purdieということ。その時のセッションでギターを弾いていたBilly ButlerはEric Galeと共に先のアルバム「Soul Drums」にも参加しているのがおもしろい。ちなみにJames Brownのバンドで録音された「It's A Man's World(ドラムはMelvin Parker)」はMr. James BrownのCD Box Set「Star Time」で聴くことができる。

-Purdie Good!-


1971年にリリースされた3作目。1曲目のJames Brownのカヴァー「Cold Sweat」から全開!!!このアルバムではベースにGordon Edwardsが参加と、後の「Stuff」のメンバーがアルバムごとに入れ替わりで出てくるのがなんとも興味深いところ。

-Cold Sweat/James Brown-


ご存知Mr. Dynamite!!! James Brownの超名盤!タイトル曲のオリジナルは1967年、こちらも「Funky Drummer」で有名なClyde Stubblefieldが叩いているのだが、このアルバム収録のM-3「Fever」のドラムがすごい!!!詳細なクレジットがないので推測になってしまうのだが、収録されているその他の曲でもBernard Purdieのクレジットがあることと、フィルインの感じ、スウィング感、全体の曲の構成力などから、おそらくBernard Purdieが叩いているものと思われる。なんせこの曲でのキックの歌い方は素晴らしい!ドラマーの方には下半身の練習曲として是非とも実践してもらいたい。

-Stand By Me-


1971年、秋頃(?)にリリースされた4作目。この年の3月にKing Curtis & The KingpinsのドラマーとしてAretha Franklinの伝説のライヴ、「Live At Fillmore West」に参加している。おそらく前作と今作の間にこのライヴへの参加があったと思われる。録音されたのが1971年の8月ということなので、Bernard Purdie自身、ノリにノッているのがよくわかる。1曲目のタイトル曲ではドラムだけではなく、その熱い歌声も披露している。素晴らしい!他にもAretha Franklinのレパートリーとしても演奏されている「Spanish Harlem(オリジナルはThe Driffters!)」やGil Scott-Heronの語りから始まる「Artificialness」、The Jackson 5でおなじみの「Never Can Say Goodbye」、Carole Kingの「You've Got A Friend」「It's Too Late」、そしてセンスが光る「Funky Mozart」など名演多数!!!そしてまたもや後の「Stuff」のメンバー、Cornell Dupreeが出てくるのはThe Kingpinsの流れなんだが、そこがなんともおもしろい。

-Young, Gifted & Black/Aretha Franklin-


このアルバムをウルフルズのプロデューサーだった伊藤銀次さんに教えてもらったのが、そもそもBernard Purdieとの出会いだった。M-2の「Day Dreaming」、M-3の「Rock Steady」は忘れようにも忘れられない名曲、名演だ!!!そしてM-1には何度も書いているがAl Jacksonのスーパープレイが収められている。そんな意味でもこのアルバムはオレには特別な1枚になってしまった。1972年リリース。

-Soul Is...-


1972年にリリースされた5作目。Marvin Gayeの「What's Goin' On」からBill Withersの「Ain't No Sunshine」を通ってまた「What's Goin' On」と心憎い演出で始まるこのアルバム。続くM-2「Don't Go」ではまたもや熱い歌声を披露してくれている。Aretha Franklinの名曲「Day Dreaming(もちろんオリジナルでもドラムはBernard Purdie!)」や、ずばり「Song For Aretha(話しがそれるがGeorge Jacksonの『Aretha, Sing One For Me』という曲も名曲!!!)というタイトルの曲も収録されているところから、前年に出会ったAretha Franklinの影響がかなり色濃く出ているのがよくわかる。1作目のような目に見えるわかりやすさは影を潜めた代わりに、内に秘めたる熱き想い(=これがBernard PurdieのSoul Drumsだと思う!)を強く感じるのはオレだけじゃないはず。M-6「Heavy Soul Slinger」のドラミングはもう、なんだろうね!名盤!!!

-Shaft-


1973年にリリースされているのだが、録音されたのは1971年の11月ということなので順番的には「Stand By Me」と「Soul Is...」の間の作品と思っていいだろう。
「Soul Is...」での内なる熱き想いというよりはもっと直感的なインストゥルメンタルアレンジが全体になされているように感じる。タイトル曲「Theme Of Shaft」はIsaac Hayesでおなじみの人も多いと思うが、こちらはストリングスなどでソフィスティケイトされておらず、もっと剥き出しの原始的な「Theme Of Shaft」と言った感じだろうか。スネアのスナッピーをオフにしたサウンドといい、独特のタムタム音といい、「Theme Of Shaft In Africa」と言っても言い過ぎではないくらいのカッコよさがここにはある!!!後にハズせないレパートリーの1曲になるBuddy Milesの「(Them) Changes」も最高だ!!!なんせこのジャケットが最高!!!

今回はソロ作、James Brownとのセッション、Aretha Franklinとの作品しか紹介できなかったが、まだまだ名演が数多くあるBernard Purdie。そんな彼のインタヴューが2008年3月号のドラムマガジンに載っていたのだが、そのインタヴューはこんな言葉で終わっている。

「オレは人にも練習しろと言うけれど、自分でもよく練習する。練習、練習、また練習。オレたちは常に練習していなきゃならないんだ。練習しすぎじゃないかなんていう心配は無用だ。練習に時間をかければかけるほど、得る者は大きいからね。常に磨きをかけておく。磨きをかけるために必要なことは何でもやる。そして、身についた実力を失わないようにするんだ。自分自身をドラムとは違った視点から見ることも大切だ。ドラムやカウント、リズム、メロディがなかったらどうなるかを考えてみる。そうすれば、これらすべてが相互に作用し合っていることがわかるはずだ。つまり、自分が良い気分で演奏するためには、バンドの他のメンバーの存在が必要なんだ。意味のある演奏をするためにはね。そのためにはまず、実力に磨きをかけること。実力があれば、世界中どこへ行っても良い演奏ができるからね。そして、謙虚な気持ちがあっても悪いことはない。実力を磨く。練習、練習、練習、そしてまた練習。練習ばかりしている人をからかったりするけれど、真実はただ一つ、練習を忘れるなということだ。実力に磨きをかけるために、やらなければならないことは何でもやる。そして"ワン"の位置を決して忘れないように!」

By Bernard Purdie

2012.04.01.
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