MUSIC

2011.06.24 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第14回 「12弦ギターが漂う、ザ・バーズの世界!」

The Byrds

are

Roger McGuinn (Vo. Gtr.)
David Crosby (Vo. Gtr.)
Chris Hillman (Bass)
Gene Clark (Vo.)
Mike Clark (Drums)

Kevin Kelley (Drums)
Gram Parsons (Gtr.)
Clarence White (Gtr.)
Gene Parsons (Drums)
John York (Bass)
Skip Battin (Bass)



「ヘーイ、ミスターターンブリンマン、プレーイソンフォーミー」というフレーズで始まるThe Byrdsのデビュー曲、「Mr. Tambourine Man」はThe Byrdsを知らない人でも一度は聴いたことがあるのでは。この曲がBob Dylanの曲だということは後々知ったが、いま聴いてもカヴァーとは思えないほど、The Byrdsの雰囲気にマッチしている。今回は60年代のフォーク、サイケデリック・ロックを教えてくれたバンドの一つ、The Byrdsを聴いてみよう!

兄の部屋から聴こえてきた「Mr. Tambourine Man」の「ティンティリティラリラリラリリーリリラ、ティンティンリラリラリラリリーリリラ」という12弦ギターのイントロのフレーズ、それに続いて出てくるソフトな歌声とコーラスにThe Beatlesのような親近感を感じ、「アメリカ版ザ・ビートルズ」といわれているのもあって、気付いたらアルバムを集めていた。Vo.&Gt.のRoger McGuinnが弾く12弦ギターのフレーズは、The Byrdsのサウンドを作るうえでとても重要な要素の一つで、なんともいえず心を奪われる。Roger McGuinnが使っている12弦ギターも、前回取り上げたC.C.R.のJohn Fogertyが使っていたギターもRickenbacker社のギターで、どちらもThe Beatlesの影響で使い出したということ。そういうエピソードを聞くと、当時のアメリカでのThe Beatlesの人気と影響が相当なものだったのかが垣間見えるような気がする。

-Mr. Tambourine Man-

タイトル曲もさることながら、このアルバムにはBob Dylanのナンバーが4曲も収められている。おまけに裏ジャケにはBob Dylanと一緒に演奏している写真も載っていて、相当なBob Dylan好きというのがよくわかる。オレもThe ByrdsでBob Dylanの曲をたくさん知った。他にもGene Clark作「I'll Feel A Whole Lot Better」やRoger McGuinn作の「It's No Use」など聴きところ満載!1965年リリース。

-Turn! Turn! Turn!-

The Byrdsの中でオレが一番好きなアルバムがこれだ。1965年の12月リリースの2ndアルバムはタイトル曲しかり、美しいメロディの「Lay Down Your Weary Tune」「He Was A Friend Of Mine」、イントロのフレーズが妙に残る「The World Turns All Around Her」、The Beatlesの「Help」に収録されていそうな「Satisfied Mind」などフォーク・ロックの名曲がたくさん収録されている。

-Fifth Dimension-

このアルバムからGene Clarkが抜けて4人体制に。シングル曲「Eight Miles High」はサイケデリックの名曲として、The Beatlesにも影響与えたとされている。ジャケットからもサイケデリックな匂いが伝わってくる。1966年リリース。

-Younger Than Yesterday-

このアルバムもよく聴いた一枚。Patti Smithのカヴァーでも知られている「So You Want To Be A Rock 'N' Roll Star」やBob Dylanのカヴァー「My Back Pages」などサイケデリックとフォークロックのバランスが絶妙な一枚。1967年リリース。

-Sweet Heart Of The Rodeo-

このアルバムはThe Rolling StonesのKeith Richardsと親好の深かったGram Parsonsが参加している唯一のアルバム。ジャケットからもわかるように、カントリー・ミュージックが全編にわたって繰り広げられているが、そこはThe Byrds!
素晴らしい感覚でオレでも聴きやすくしてくれている。1曲目のBob Dylanのカヴァーも秀逸だ!2作目のアルバム「Turn! Turn! Turn!」に通じるものを感じてしまう。名盤!

The Rolling StonesというよりKeith Richardsがカントリー・ミュージックに傾倒していくきっかけを作ったのが、このGram Parsonsだという話も興味深いところ。The Rolling Stonesのアルバム「Sticky Fingers」に収録の「Wild Houses」はGram Parsonsとの交流があったからこそ生まれた曲ということらしい。Gram ParsonsもThe Byrds脱退後結成したバンド「The Flyng Burrito Brothers」の2ndアルバム「Burrito Deluxe」で歌っている。

Bob Dylanのカヴァーから始まり、サイケデリックな時代を経てカントリー・ミュージックに変化していったThe Byrdsのサウンド。興味のあるかたは、まずはファースト・アルバムから聴いてみて欲しい。


初掲載:2009.06.12.
加筆、修正:2011.06.24.
2011.06.10 (Fri)
これもブルース 第14回 大男の遠吠えが聞こえる!1
Howlin' Wolf

本名 Chester Arthur Burnett


連載第10、11回目の木村充揮さんの声が「天使のダミ声」と言われているのなら、この人、Howlin' Wolfの声は「元祖悪魔のうなり声」とでも言えばいいのだろうか。Howlin Wolfの歌声にはそうにしか聴こえない瞬間が多々ある。そういや「Evil」って名曲があるのもなにかの縁なのか。連載当時、何も知らずに聴きだしたの だが、いまやすっかりHowlin' Wolfにやられてしまった。

その独特な歌声は人為的に作られたものではなく天性の物のようで、幼 い頃に何度も扁桃炎をわずらったのも関係しているようだ。10代の頃、伝説のブルースマンCharlie Pattonに直々にギターを教わり、30代になり、Robert Johnson、Sonny Boy WilliamsonⅡとミッシシッピを旅して回り、30代の後半、単身ウェスト・メンフィスへ向かう。そこでWillie Johnson(Gt.)、Mat Murphy(Gt.)、Willie Steele(Dr.)、James Williams(Piano)、James Cotton(Harp)、らとバンドを組み、ウェスト・メンフィスでは大人気バンドに。翌年、ウェスト・メンフィスのラジオ局、KWEMで番組を始める と、この放送を聞いていたSam Phillips(Sun Recordsを作った人!)の耳に止まり、1951年ついにレコードデビューを果たす。Howlin' Wolfは41歳になっていた。

-Memphis Days Vol.1&Vol.2-





当時はメンフィスのSam Phillipsが録音したものをシカゴのChess Recordsに、Ike Turnerが録音したものをロスアンゼルスのModern/RPM Recordsにリースしていたようだ。この2枚はChess Recordsにリースしていたものをまとめたもの。軽快な「Oh, Red」や強烈なブギの「Mr. Highway Man」、Chessでのデビューシングル「Moanin' At Midnight」「How Many More Years」、など、すでに
後のHowlin' Wolfが感じられる曲多数!

-Sings The Blues- 


上のChessに対抗して、Ike Turnerが主導で録音されていたロスアンゼルスのModern/RPM Recordsの時の音源をまとめたのがこれだ。興味深いのはChess用にも吹き込んだ「Moaning At Midnight」「Riddin' In The Moonlight」を新たに録音していることや「How Many More Years」が「Dog Me Around」として録音されていることなど、当時のHowlin' Wolfを知る上では欠かせないCD!

「Memphis Days」も「Sings The Blues」も1951~52年にレコーディングされたもの。この後、1953年、Howlin' Wolfは単身シカゴに向かうことに。

次回へ続く。

初掲載:2008.04.26.
加筆、修正:2011.06.10.
2011.06.01 (Wed)
The Doors
The Doors

are

Jim Morrison (Vo.)
Ray Manzarek (Key)
Robby Krieger (Gtr.)
John Densmore (Drums)


Oliver Stone監督で1991年に映画化されたこともあり、その時に知った人も多いのでは。2010年にはドキュメンタリー映画「ドアーズ/まぼろしの世界 (When You're Strange)」も公開され、いまだにその人気は衰えていない。Vo.のJim Morrisonの奇行ばかり取り上げられがちなのだが、実際、そのパフォーマンス(?)というか、生き様はハンパなかった。そんなパフォーマンスだけでなく残された音楽も素晴らしいものばかり。

-The Doors-


1967年のデビューアルバム。高校生の頃、初めて聴いたのだが、その頃よりも断然いまほうがよく聴いている!1曲目の「Break On Through」や、大ヒット曲「Light My Fire」、映画「地獄の黙示録」で使われた「The End」、Howlin' Wolfの「Back Door Man」など、名曲揃いのアルバム!

-Strange Days-


ファーストアルバムの勢いそのままに1967年にリリースされたセカンドアルバム。M-7の「People Are Strange」は高校生の頃に公開された映画、「ロストボーイ (The Lost Boys)」の主題歌だったと思っていたら、使われていたのはイギリスのバンド、Echo & The Bunnymenのカヴァーバージョンだったというから驚きだ!いまのいままで、The Doorsのものと思ってたオレって、、、。タイトル曲の「Strange Days」や思わずギターのフレーズを口ずさんでしまいそうな「Love Me Two Times」、10分を超える「When The Music's Over」など、聴きどころ満載だ!2拍3連の決めがあるとThe Doorsっぽく聴こえて来るのは立派なオリジナリティだ!

-Soft Parade-


どうもあまり評価が高くないらしい1969年リリースの4枚目のアルバム。以前はオレの中の評価もそんなに高くはなかったのだが、いやいや、どうして、最近では一番良く聴いているような気がする。もちろん大ヒットした「Touch Me」が入っているというだけで、持っていたようなもんなのだが、タイトル曲の「Soft Parade」がどうやらいまの自分に合っているようだ。あの音使いと、曲の展開が最高だ!!!ブラスセクションが大々的にフューチャーされている「Tell All The People」や3拍子の「Shaman's Blues」、「Wishful Sinful」などなど、印象に残る曲が多い。

コード進行や一つ一つの楽器の音使いがとても個性的で、やはりセンスが光っていると思うThe Doorsの音楽。いまこそ聴いてみてほしい。

2011.06.01.
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