MUSIC

2011.08.12 (Fri)
これもブルース 第15回 ニューオーリンズのファット・マン!
Fats Domino

本名 Antoine Dominique Domino



兄の影響でロックやパンクロックを聴くようになり、自分で好きなレコードを買うようになった高校生の頃、実家の押し入れの奥で古いレコードを見つけた。両親のものかそれとも叔父のものか、、、。シングル盤とLP盤が合わせて十数枚。そのときはどれも興味がなく針を落とすこともなかったのだが、それから数年後、押し入れを片付けているときにレコードの存在を思い出し、引っ張り出して見てみると、The Bee Geesの「Massachusetts」や、島倉千代子さんの「愛のさざ波」のシングル盤、Motown Recordsのクリスマスアルバムがでてきたのにはびっくりした。そんな中に混ざって「サッチモ」の愛称で親しまれている、Louis Armstrongの「聖者来りて」のシングル盤があったのだが、そのB面が「Blueberry Hill」だった。この曲はFats Dominoも歌っていて、Fats Dominoバージョンは3連符のリズムを強調した演奏になっているんだが、ゆったりとしたサッチモの「Blueberry Hill」も素晴らしい。

「Fats Domino」という名前を知ったのは、John Lennonのアルバム「Rock 'n' Roll」のライナーノーツだった。「収録されている『エイント・ザット・ア・シェイム』はニューオーリンズのピアニスト、ファッツ・ドミノの曲で・・・」とあり、「変わった名前の人だなぁ」と記憶していたのだが、、、名前のことではオレも他人のことは言えないなぁ、、、。

Fats Dominoの曲は、もはやロックンロールのスタンダードナンバーと言えるほど親しまれている曲が多く、「I'm Walkin'」や「Blue Monday」なんかはどこかで聴いたことがある人も多いんじゃないかな。なんせ聴こえてくるピアノの音が力強く、叩き付けるような3連符にロックンロールを感じてしまうのはオレだけじゃないはず。「Blueberry Hill」も「Ain't That A Shame」もこのリズムだ( John LennonのAin't  That A Shameはリズムを8ビートにして演奏していて、オリジナルにはないイントロを付け加えているのだが、そのイントロがまたカッコイイんだ!)。ウルフルズでもおなじみのロックンロール・ピアノマン、伊東ミキオ氏もFats Dominoはフェイヴァリットアーティストとのこと。

-Greatest Hits : Walking To New Orleans-


何種類かベスト盤がリリースされているが、初めての方にはオレの独断と偏見で30曲収録されているこのアルバムをオススメしたい。「I'm Walkin'」、「Ain't That A Shame」、「Blueberry Hill」、「Blue Monday」、「The Fat Man」などなど、おなじみの名曲が続々と聴こえてくる。「I'm Walkin'」でのEarl Palmerのドラムが左手からスタートしていることを知ったときの衝撃は、、、いまだに忘れられないし、いまだにできない。

-Going Home ~ A Tribute To Fats Domino/V.A.-


John Lennonの「Ain't That A Shame」から始まるこのアルバム。集まったメンツの名前を見ればFats Dominoがいかにいろんなミュージシャンに影響を与えたかがよくわかる好編集アルバムだ!!!Dr. JohnやThe Dirty Dozen Brass Band with Joss Stone + Buddy GuyなどNew Orleans組に加えて、Lenny Kravitz with Rebirth Brass Band + J.B. HornsやRobbie Robertson with Galactic、Ben Harper with The Skatalitesなどなど、おもしろいセッションが聴けるのもこのアルバムの素晴らしいところ。中でもPaul McCartneyとAllen ToussaintのセッションはPaulのFats Dominoへの愛情がとても感じられる。2007年リリース。


これもブルース。

初掲載:2008.05.09.
加筆、修正:2011.08.12.