MUSIC

2010.08.27 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第4回「ロカビリーの使者!」

Eddie Cochran エディ・コクラン

Eddie Cochranといえばこの曲「C’mon Everybody」が一番知られていると思う。中学生の頃、The Modsのラジオライヴが兄の部屋から流れていて、その時に聴いたThe Modsヴァージョンの「C’mon Everybody」が最初だった。そのときは誰の歌かは知らなかったが、覚えやすくてカッコいい曲という印象だった。Stray Catsをはじめ、いまでもたくさんの人に演奏されている不滅の名曲はこの人の曲だ。

-12 Of His Biggest Hits/Never To Be Forgotten-

「ドウィドゥドゥ、ドウィドゥドゥ」とベースのリフから始まる「C'mon Everybody」が1曲目の左側のアルバム!まさにオレが高校生の頃、聴いていたアルバムがこれだ。いまはCDになり、しかも2イン1で発売されていてとってもお得。


「Summertime Blues」という曲はウルフルズもカヴァーしているのだが、これももとはと言えばEddie Cochranの曲で、1958年にリリースされ、自身初のミリオンセラーとなったヒット曲だ。The Whoのカヴァーバージョンがあまりにも有名すぎて、オリジナルの「Summertime Blues」を聴いたときは、まさかこれが同じ曲とは思えなかったが、オリジナルの「Summertime Blues」も間違いなく永遠の名曲だ!日本の先輩方では、うじきつよし氏率いる子供バンドや、RCサクセション、そして憂歌団がカヴァーしているのがステキ。

-Live At Leeds/The Who-

言わずと知れたThe Whoの、イギリスはリーズ大学でのライヴを収録したアルバム。数々のヒット曲とともに「Summertime Blues」も演奏されている!The Whoのアルバム「Odds & Sods」にスタジオヴァージョンも収録されているが、初めて聴く方にはこちらのライヴヴァージョンを勧めたい。


第3回で取り上げたKeith Richardsも自身のソロライヴで演奏している「Something Else」。この曲もオリジナルはこの人、Eddie Cochran。この曲でドラムを叩いているのがEarl Palmerというスーパードラマーなんだが、この人、Fats Domino、Little Richard、Professor Longhairなどのバックで叩いていた、いわばロックンロールの誕生に大きな貢献をした偉大なドラマーだ!!!約50年前の曲ということを全く感じさせない、この生き生きとしたスピード感、躍動感!!!ああ、超名曲。

-LIve In Boston/Keith Richards and The X-pensive winos-


1曲目が「Something Else」で始まる1993年のボストンでのライヴDVDがこれだ!ソロ2枚目の「Main Offender」発表後のライヴと思われる。The Rolling Stonesの曲も何曲か演奏しているので、興味のある方は是非!


とまぁEddie Cochranの名曲を3曲取り上げてみたのだが、他にもThe Rolling Stonesもカヴァーしてる「Twenty Flight Rock」や、Elvis Presleyを彷彿させる「Sittin’ In The Balcony」など、まだまだ名曲はあるので興味のある方は聴いてみてほしい。交通事故により21才の若さで亡くなったEddie Cochran。「ヒルビリー」というカントリーミュージック以前の白人の音楽と、「ブルース」から発展した黒人の音楽、R&Bやロックンロールが合わさってできたという「ロカビリー」。Eddie Cochranの果たしたことはあまりにも大きい。


初掲載:2009.01.09.
加筆・修正:2010.08.27.

 

2010.08.13 (Fri)
これもブルース 第4回 「ブルースと、スケベ心と、ルイジアナ!」
Slim Harpo
スリム・ハーポ



本名は James Moore(ジェイムス・ムーア)。この人との出会いも、The Rolling Stonesだった。ファーストアルバムに収録されていた「 ( I'm a ) King Bee」という曲で、「ウェラマキングベー、バズンラーンジョンハイ」と淡々と進む構成が、もう退屈で退屈で、正直、嫌いな曲だった。しかし、いま聴いてみると、原曲に対してかなり忠実な演奏、そして間奏にはBrian Jonesの弾くスライドギターが入っていて、その音が「ブンブン」と飛んでいるハチの羽音のように聴こえるのがおもしろい。

-Raining In My Heart-


Slim Harpoの原曲を聴いたのはウルフルズに入ってからだった。これは、たしかケイスケ氏に貸してもらったものだったと記憶している。「Raining In My Heart」と「Tip On In」というアルバムをセットで借りたのだが、この人の独特な声というか、発声というか、 歌声を初めて聴いたときは衝撃だった。「えーっ!?これもブルースなのか!?」と。そんな 鼻から抜ける甘い声で、歌ってる内容はというと「そう、俺は蜂の王様。お前の巣の周りをブンブン飛び周り、最高の蜂蜜を作れるぜ。さぁ俺を中に入れとくれ。」と、かーなりスケベな内容だ。しかし、この甘い声で歌っているところを想像してみると、かなりモテたんじゃないかな。きっと「キャー!キャー!スリムー!」と黄色い声援を浴びていたに違いない。

-Tip On In-


そんな甘い声のSlim Harpoが歌うブルースは 、Muddy Watersらのシカゴ・ブルースのノリとはまたひと味違い、リズム&ブルースやロックンロールにかなり近いように思う。ルイジアナ・ブルースと言われているだけあって、New Orleans特有のノリを感じるのはオレだけだろうか。アレンジはシンプルでわかりやすく、歌はヒョウヒョウとしてて、どこまでもとぼけた感じがあるのだが、リズムの枠組みはとても太くてしっかりしている。きっとこの組み合わせが絶妙な説得力を生み出しているのだろう。そういえば、New Orleansのピアニスト&シンガーのProfessor Longhairも、ヒョウヒョウとした歌と独特のリズムという組み合わせだったなぁ。そこには何かがあるのかも知れない。

-Exile On Main ST/The Rolling Stones-


このアルバムに収録されている「Shake Your Hips」という曲も、Slim Harpoのナンバーだ。こういうところが、The Rolling Stonesのセンスの良さと言うか、さすがといったところ。


ある日のこと、「サンコンさん、髪伸びるのはやいですねー。髪が伸びるのがはやい人はいやらしいってよくいいますよね。」といわれ、

「そうねぇ、ははははは。」

と返したのだが、この「髪が伸びるのがはやい=スケベ」みたいな因果関係は一体どこまで本当の話なんだろうか?オレも、もちろん、スケベには間違いないが、スケベはスケベでもムッツリ・スケベなんよねー、これが。だからオープンなスケベの人には、、、憧れがある。オープンなほうが、あんまりいやらしい感じがしないし。って、なんの話?。この方程式みたいなものが正しいとすると、Slim Harpoだけじゃなく、昔のブルースマン達は、皆、すっごい勢いで髪の毛が伸びていたに違いない。オープンだろうが、ムッツリだろうが、何事にも「スケベ心」は大切ということか。

これもブルース。


初掲載:2007.11.30.
加筆、修正:2010.08.13.
2010.08.02 (Mon)
Otis Redding
オーティス・レディング

Otis Redding
オーティス・レディング


高校生の当時、あまり知らなかったブラック・ミュージックやリズム&ブルースの世界に興味を向けてくれたのは、やはりThe Rolling Stonesの存在が大きかった。中でもよく聴いたThe Rolling Stonesのアルバム「Out Of Our Heads (U.S.盤)」には、Otis Reddingの「That's How Strong My Love Is」や、Sam Cookeの「Good Times」、Don Covayの「Mercy, Mercy」、Solomon Burkeの「Cry To Me」、Marvin Gayeの「Hitch Hike」と、Stax、Atlantic、RCAといった南部出身のリズム&ブルース・シンガーの名曲と、Motown所属のシンガーの名曲のカヴァーが収録されている。それに加えてOtis Reddingのカヴァーヴァージョンでも大ヒットした、The Rolling Stonesの大ヒット曲「( I Can't Get No )Satisfaction」も収録されていて、オレにとってはThe Rolling Stonesの中でもとても重要なアルバムだ。70年代のThe Rolling Stonesとはまた違った良さが凝縮されている。

-Out Of Our Heads/The Rolling Stones-


ブルースのみならず、リズム&ブルースの名作カヴァーも数多く残しているThe Rolling Stones。他にもOtis Reddingのナンバーは「I've Been Loving You Too Long」と「Pain In My Heart」をカヴァーしている。


さて、そんなOtis Reddingの最大の魅力とはなんだろう。やはりオレにとっては感情むき出しのそのヴォーカルスタイルだ。Sam CookeやJames Brownとはまた違った感情表現で、感情というよりも「激情」といったほうがピッタリとくるかもしれない。人によっては、そこが「暑苦しすぎる」と感じて、遠ざけてしまう人もいるかもしれないが、オレはその「暑苦しさ」がたまらなく大好きだ!

そんなOtis Reddingの「激情」を知りたいという方には、スタジオ録音盤よりもさらにエネルギッシュなライヴ盤をおすすめしたい。中でも1967年に行われた「モンタレー・ポップ・フェスティヴァル」でのライヴパフォーマンスは圧巻だ!Sam Cookeの「Shake」で始まるこのライヴは、全5曲、分数にすると約20分ととても短いのだが、バックを務めるBooker T. & The M.G.'s with The Mar-Keysの演奏も含めて、まさに「激情」そのもののライヴだ!

-Monterey International Pop Festival/Otis Redding/The Jimi Hendrix Experience-


1967年、6月の16日、17日、18日の3日間に渡ってアメリカはカリフォルニア州のモンタレーで行われた伝説的なミュージック・フェスティヴァル。Otis Reddingは17日の夜の部に出演。そして最終日の18日の夜の部では、当時、楽器を破壊するパフォーマンスで話題になっていた、The WhoとJimi Hendrixが激突。両者とも「我々が先に出演する!」と譲らず、決めかねた主催者がコイントスで順番を決めたといわれている。結果、The Whoが先に出演し、いつも通り楽器を破壊し聴衆に大ウケ。その後出演したJimi Hendrixが楽器破壊+ギターを燃やしたといわれている、伝説のミュージック・フェスティヴァル。

ここでのOtis Redding + Booker T. & The M.G.'s with The Mar-Keysの歌と演奏には「激情」以上のものを感じてしまう。特に「I've Been Loving You Too Long」と「Try A Little Tenderness」の2曲は、何度聴いても、胸が熱くなってしまう。

残念ながら現在このアルバムはCD化されていないようだが、1986年に映画として公開されたものが、「Jimi Plays Monterey/Shake! Otis At Monterey!」としてBlu-ray Discで発売されているようだ。国内盤の発売を心より願う。

-Otis Redding Live In Lodon and Paris-

その昔、「Live In Europe (邦題:ヨーロッパのオーティス・レディング)」としてリリースされていたアルバムが、9曲追加されて2008年にリリースされたもの。こちらももちろん、熱く、激しいOtis Reddingが感じられる!!!上のアルバムと同じく、バックを務めるのは、Booker T. & The M.G.'s with The Mar-Keysだ!

-The Immortal-

Otis Reddingの死後リリースされたこのアルバム。ウルフルズに加入した直後、トータス松本氏に「これ聴いたことあるか?」と貸してもらったのもあり、オレにとっては思い出深いアルバムだ。「I've Got Dreams To Remember」、「Hard To Handle」、「The Happy Song」など、名曲が多数収録されている超名盤だ!この他にも「Otis Blue」や「Dictionary Of Soul」など名盤がたくさんリリースされているので、興味のある方は是非聴いてみて欲しい。

2010.08.02.

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