MUSIC

2011.08.26 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第16回「迫りくるニール・ヤングの歌声!」

Neil Young


初めて聴いたのは「CSN&Y」の「Deja Vu」というアルバムに収録されていた「Helpress」という曲だった。この人も一度聴いたら忘れられない、インパクトのある声の持ち主だ!その独特な歌声が、Neil Youngの作るメロディ、演奏と重なると、恐ろしいほどの説得力をもって迫ってくる!今回は現在もアルバムをリリースし続けるNeil Youngを聴いてみよう!

冒頭に出てきた「CSN&Y」とは、「Crosby, Stills, Nash & Young」の略で、各メンバーの頭文字をとってこう呼ばれる。もともとは「Crosby, Stills & Nash(CS&N)」の3人での活動が先にあり、この3人でのアルバムも何枚かリリースされている。そこに、ある時期だけ加わったNeil Youngを含めた形が「CSN&Y」ということ。ちょっとややこしいかな。メンバーのCrosbyこと、David Crosbyは前々回にここで紹介した、元The Byrdsのギターと歌を担当していた人。NashことGraham Nashはイギリスのバンド、The Holliesのギタリスト。StillsことStephen Stillsは以前Neil Youngと組んでいたBuffalo Springfieldというバンドの中心人物。それぞれのメンバーが有名なバンド出身というのも話題になり、アルバム「Deja Vu」は予約だけで200万枚という売り上げを記録し、大ヒットした。

-Deja Vu / CSN&Y-

このアルバムを聴くと本当に懐かしい。18歳の頃の自分を思い出してしまう、そんなオレの中の1枚だ。各メンバーそれぞれ2曲ずつとJoni Mitchell作の「Woodstock」、Stephen Stills、Neil Young共作の「Everybody I Love You」の全10曲で構成されている。1970年リリース。

Buffalo Springfield、CSN&Y、ソロになってからの膨大な作品など、Neil Youngの曲が聴ける作品はかなりの数になり、「一体、どれから聴いたらいいのか、、、」と思っているそんな人には、まず「After The Gold Rush」と「Harvest」という2枚のアルバムを勧めたい。どちらもソロ活動を始めた初期の作品で、Neil Youngという人の活動の原点がギッシリ詰まっている。とくに「Harvest」は1972年の年間アルバムチャートでも第1位に選ばれたアルバムで、収録されているシングル曲「Heart Of Gold(邦題:孤独の旅路)」も全米1位になっている。

-After The Gold Rush-

ソロ(Buffalo Springfieldをやめてからの活動)になってからの3作目。名曲「Only Love Can Break Your Heart」をはじめ、「Southern Man」、「Don’t Let It Bring You Down」、「I Believe In You」など心に残る曲が多数収録されている。1970年リリース。

-Harvest-

1972年リリースの4作目。やはりなんと言ってもシングル「Heart Of Gold(孤独の旅路)」の存在感は圧倒的だ。このアルバムのバンド名は「Stray Gators」という名義なのだが、メンバーのクレジットを見て驚いたのは、BassのTim Drummondの名前だ。この人、James Brownのアルバム「I Can’t Stand Myself」でJames Brownと共演している「The Dapps」の元メンバーなのだ。Tim Drummondは当時のJames Brownのお気に入りのベーシストで「I Can't Stand Myself」はもちろんのこと、ファンキー・ソウルの傑作「Licking Stick」のベースもこの人が弾いている。体調を壊してJames Brownのバンドをやめたとこまでは知っていたのだが、まさかここで弾いていたとは、、、感激だ!少々話しがそれてしまったが、そんなStray Gators(ドラムはBob Dylanの「John Wesley Harding」で叩いているKenny Buttrey)と作り出した低音のビートを強調したサウンドは、シンプルなだけによりいっそうNeil Youngの歌を際立たせている。超名盤!

いきなりピンク色のスーツを着て全編ロカビリーのアルバムを作ったり、Pearl Jamとともに爆音ギターが炸裂しているアルバムを作ったり、かと思えば、とても内向的なアルバムがあったりと、そのときそのときの自分の気持ちに正直な活動をしてきたNeil Young。そんな姿勢がNeil Youngの最大の魅力だろう。

-Le Noise-

Neil Youngが2010年に発表した作品なんだが、これがすごい!!!ギターと歌のみでこの迫力と説得力は脱帽だ!!!現在YouTubeでアルバム全曲の映像が公開中!

初掲載:2009.07.27.
加筆、修正:2011.08.26.
2011.08.12 (Fri)
これもブルース 第15回 ニューオーリンズのファット・マン!
Fats Domino

本名 Antoine Dominique Domino



兄の影響でロックやパンクロックを聴くようになり、自分で好きなレコードを買うようになった高校生の頃、実家の押し入れの奥で古いレコードを見つけた。両親のものかそれとも叔父のものか、、、。シングル盤とLP盤が合わせて十数枚。そのときはどれも興味がなく針を落とすこともなかったのだが、それから数年後、押し入れを片付けているときにレコードの存在を思い出し、引っ張り出して見てみると、The Bee Geesの「Massachusetts」や、島倉千代子さんの「愛のさざ波」のシングル盤、Motown Recordsのクリスマスアルバムがでてきたのにはびっくりした。そんな中に混ざって「サッチモ」の愛称で親しまれている、Louis Armstrongの「聖者来りて」のシングル盤があったのだが、そのB面が「Blueberry Hill」だった。この曲はFats Dominoも歌っていて、Fats Dominoバージョンは3連符のリズムを強調した演奏になっているんだが、ゆったりとしたサッチモの「Blueberry Hill」も素晴らしい。

「Fats Domino」という名前を知ったのは、John Lennonのアルバム「Rock 'n' Roll」のライナーノーツだった。「収録されている『エイント・ザット・ア・シェイム』はニューオーリンズのピアニスト、ファッツ・ドミノの曲で・・・」とあり、「変わった名前の人だなぁ」と記憶していたのだが、、、名前のことではオレも他人のことは言えないなぁ、、、。

Fats Dominoの曲は、もはやロックンロールのスタンダードナンバーと言えるほど親しまれている曲が多く、「I'm Walkin'」や「Blue Monday」なんかはどこかで聴いたことがある人も多いんじゃないかな。なんせ聴こえてくるピアノの音が力強く、叩き付けるような3連符にロックンロールを感じてしまうのはオレだけじゃないはず。「Blueberry Hill」も「Ain't That A Shame」もこのリズムだ( John LennonのAin't  That A Shameはリズムを8ビートにして演奏していて、オリジナルにはないイントロを付け加えているのだが、そのイントロがまたカッコイイんだ!)。ウルフルズでもおなじみのロックンロール・ピアノマン、伊東ミキオ氏もFats Dominoはフェイヴァリットアーティストとのこと。

-Greatest Hits : Walking To New Orleans-


何種類かベスト盤がリリースされているが、初めての方にはオレの独断と偏見で30曲収録されているこのアルバムをオススメしたい。「I'm Walkin'」、「Ain't That A Shame」、「Blueberry Hill」、「Blue Monday」、「The Fat Man」などなど、おなじみの名曲が続々と聴こえてくる。「I'm Walkin'」でのEarl Palmerのドラムが左手からスタートしていることを知ったときの衝撃は、、、いまだに忘れられないし、いまだにできない。

-Going Home ~ A Tribute To Fats Domino/V.A.-


John Lennonの「Ain't That A Shame」から始まるこのアルバム。集まったメンツの名前を見ればFats Dominoがいかにいろんなミュージシャンに影響を与えたかがよくわかる好編集アルバムだ!!!Dr. JohnやThe Dirty Dozen Brass Band with Joss Stone + Buddy GuyなどNew Orleans組に加えて、Lenny Kravitz with Rebirth Brass Band + J.B. HornsやRobbie Robertson with Galactic、Ben Harper with The Skatalitesなどなど、おもしろいセッションが聴けるのもこのアルバムの素晴らしいところ。中でもPaul McCartneyとAllen ToussaintのセッションはPaulのFats Dominoへの愛情がとても感じられる。2007年リリース。


これもブルース。

初掲載:2008.05.09.
加筆、修正:2011.08.12.

2011.08.01 (Mon)
Cream
Cream

are

Eric Clapton (Gtr. Vo.)
Jack Bruce (Vo. Bass, Harmonica, Piano, Cello )
Ginger Baker (Drums, Percussion, Vo.)

The Yardbirds、John Mayall's Bluesbreakersですでに人気絶頂だったEric Craptonと、イギリスのミュージックシーンではスーパープレイヤーと認められていたGinger BakerとJack Bruceが結成した超スーパーバンドがCreamだ。もちろんこのバンドの存在は昔から知ってはいたのだが、Creamの音源にはなかなか手が伸びなかった。のだが、ここ最近、自分の中のBlues、Jazz熱が上がるにつれ自然と興味が向かっていった。Eric Craptonのプレイもさることながら、Jack Bruce、Ginger Bakerの二人のプレイにも注目してもらいたい。活動していた期間は約2年半と短いが、残された4枚のスタジオ録音盤と数枚のライヴ盤には3人の卓越した演奏力と、それぞれの音楽センスが火花を散らしているのがよくわかると思う。

-Fresh Cream-


1966年リリースの1stアルバム。第2弾シングル「I Feel Free」で幕をあけるこのアルバム(当時はイギリス盤、アメリカ盤で収録曲が違ったようだが、現在発売されているものは統一されているようだ)。 Muddy WatersやHowlin' Wolf、Robert Johnson、Skip Jamesといったブルースマンのカヴァーが多いのもこのアルバムの特徴だ。中でもMuddy Watersの「Rollin' And Tumblin'」はJack BruceがBassを演奏せず、Harmonicaと歌のみなんだが、それが、とてつもなくカッコイイ!!!全編にわたるGinger Bakerの的確なドラミングが素晴らしい!

-Disraeli Gears-


Creamと言えばこのアルバムを選ぶ人が一番多いんじゃないだろうか。Creamを代表する1967年リリースの2ndアルバム。前作ほどストレートなブルース色は色濃くないが、大ヒット曲の「Strange Brew」、「Sunshine Of Your Love」をはじめ、「World Of Pain」、「Tales Of Brave Ulysses」、「Swlabr」など名曲が多数収録されている。前作に引き続きここでもGinger Bakerは、トリオバンドのお手本のようなドラムを披露している。

-Wheels Of Fire-


スタジオ録音された音源とライヴ録音された音源が1枚ずつの2枚組でリリースされた3rdアルバム。このアルバムではHowlin' Wolf、Albert King、Robert Johnsonのカヴァーが収録されている。Albert Kingの「Born Under A Bad Sign」でのGinger Bakerのドラムがクールでカッコイイ!!!1968年のリリース。

-Goodbye-


文字通り最後のアルバム。このアルバムもスタジオ録音音源とライヴ音源で構成されている。スタジオ録音された音源は、解散が決まった後の最後のレコーディングに各メンバーがそれぞれ1曲ずつ用意したナンバーになっている。Eric Craptonの曲「Badge」にはGeorge Harrisonの名前が共作者としてクレジットされている。1969年リリース。

以上がスタジオ録音盤の4枚だ。Creamが残してくれた音源には、少人数のバンドでの各楽器の使い方、特にGinger Bakerのタムタム、シンバルなどドラムキットをフルに活用する術は本当に勉強になる。

2011.08.01.
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