MUSIC

2010.10.22 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第6回 「月と踊るベルファストのロックンローラー!」

Van Morrison 本名 George Ivan Morrison


「ベルファスト(北アイルランドの首都)のThe Rolling Stones」と言われていたバンド「Them(ゼム)」のヴォーカリストから出発し、現在に至るまで地道に、確実に自分の音楽を作ってきた人。今回紹介するVan Morrisonはそんな人だ。

高校生の頃、David Bowieのコピーバンドをやっていたこともあって、当然ながらDavid Bowieのレコードをよく聴いていた。中でも「Pin Ups」というカヴァー曲ばかりのアルバムには、The Whoや、The Kinks、Pretty ThingsなどDavid Bowieが影響を受けた曲とともに、Themの大ヒット曲「Here Comes The Night」も収録されていた。David Bowieのヴァージョンはいま聴くと、かなりドラマチックに仕上げられていて、それはそれでオレは好き。

-Pin Ups/David Bowie-

1973年リリースの全編カヴァーで構成されているアルバム。David Bowieがどんな人達に影響を受けたのかが良くわかる1枚。中でもオーストラリア出身のバンド、The Easybeatsはこのレコードで知って大好きになり、彼らのレコードが欲しくて中古レコード屋さんを探しまわったもんだ。Themの「Here Comes The Night」は2曲目に収録されている。


そんな経緯もあり、当時一緒にバンドをやっていたギターの山本くんに「Them」のレコードを録音してもらい、初めてVan Morrisonの声を聴いたときの衝撃たるや!!!The Rolling StonesのMick Jaggerも、The Animalsのヴォーカル、Eric Burdonも霞んでしまうほどのインパクトだった!そんなインパクトのある声とは裏腹に、ジャケットに写っている風貌のなんとも地味なこと。そんなギャップがよけいに好きになった。中でも一番聴いたのは「Them Again」という2ndアルバムだ。

-Them Again-

1曲目の「Could You Would You」の雰囲気はいま聴いても本当に最高だ!!!James BrownやRay Charles、Bob Dylanといろんな人のカヴァー曲が入っているのもこのアルバムの魅力だろう。

その後、Themを脱退したVan Morrisonは、単身アメリカに渡ってソロアルバムをリリースしていく。ソロ1stの「Astral Weeks」から「Moondance」、「Tupelo Honye」、Dr. Johnと一緒に作った「A Period Of Transition」と挙げればきりがないほど名盤だらけのVan Morrisonのアルバムの中から1枚だけ選ぶとしたら、やはり「Moondance」だろうか。初めてVan Morrisonを聴く人にはとても入りやすいアルバムだと思う。オレ自信もそうだった。その昔、ウルフルズに入って間もなく、ウルフルケイスケ氏にもらったカセットテープに録音されていたのが「Moondance」だった。当時、実家の自転車屋を手伝いながら、店先にラジカセをぶら下げてこのカセットテープを繰り返し聴いていたのを覚えている。

-Moondance-


去年もアルバム「Keep It Simple」をリリース(連載当時)したVan Morrison。地道に、確実に自分の音楽を探し続け、いまだに精力的な音楽活動を続けているVan Morrisonが言うところの「Keep It Simple」という言葉にはとても説得力がある。2009年2月には「Astral Weeks Live」というアルバムとDVDがリリースされるようだ(連載当時)。あぁ、日本でライヴやってくれないかなぁ。

-Keep It Simple-


ソロ通算33枚目のスタジオレコーディングアルバム。ジャケットの顔がどこか尊い僧侶に見えるのはオレだけだろうか。

-Astral Weeks Live-


まさか!!!そんなライヴが開催されようとは!!!!Van Morrisonファンの誰もが想像すらしていなかったはずだ!!!!!!永遠の名盤をライヴでも!!!!!


初掲載:2009.02.06.
加筆、修正:2010.10.22.
2010.10.08 (Fri)
これもブルース 第6回「ヘーイ!ヘーイ!とジャングルビートがやってきた!」
Bo Diddley ボ・ディドリー
本名 Ellas McDaniel


この連載を始めてから思い出して聴き直したレコードは結構あり、いま聴いても「うぉぉぉおおおおおー!」と思うものや、当時、一度は聴いてみたものの、「うーん、、、、、」と、そんなに興味をそそられなかったものが、いまになってすごくかっこ良く聴こえたり、と音楽の素晴らしさを改めて実感している今日この頃。今回のBo Diddleyという人は当時も今も「うぉぉぉおおおおおー!」となってしまう人だ。

この人のレコードはその昔、ウルフル・ケイスケ氏に借りてカセットテープに録音して聴いていたのだが、そのカセットテープもどこにいったのか見当たらず、現在、Bo DiddleyのCDは入手困難な為(連載当時)、ケイスケ氏がまだアナログレコードを持っているか尋ねてみた。


サンコンJr.「昔借りたBo Diddleyのレコードってまだ持ってます?」

ウルフル・ケイスケ「あるけど、CDちゃうで。レコードやで。」

サ「ええ、レコードでいいんです。たしか、『ファースト』と『GO Bo Diddley』とあと何枚か借りたと思うんやけど・・・。」

ケ「『ファースト』は持ってたかどうかわからんけど、他のはあるわ。ベスト盤やったらCDも持ってるし。」

サ「じゃあ借りてもいいですか?初期の頃のアルバムがCDで手に入りにくくなってるんで。」

ケ「そうなんや。ええよ、ええよ。今度全部持っていくわ。」

-GO Bo Diddley-


ブルースの名門「Chess」レーベルからリリースされた2ndアルバム。名曲「Crackin'Up」収録!1959年リリース。現在はCDで手に入るようだ。

Bo Diddleyの曲も、最初の出会いはThe Rolling Stonesのファースト・アルバムに収録されている「Mona 」だった。いや、もしかしたら、The Roostersがカヴァーしてた「モナ」のほうを先に聴いていたような、、、。「ジャガズジャガズジャガ、ウジャジャンジャン!」とこの人のトレードマークになっている「Jungle Beat」(や「Bo Diddley Beat」)と呼ばれているリズムの曲なんやけど、誰もが知っているリズムに自分の名前が付いているって、すごすぎる!

-Bo Diddley Is A Gunslinger-


この人の曲は本当にノリが良く、シンプルで、とてもなじみやすい。コーラスとの掛け合いの曲も数多くあり、聴いているだけで本当に楽しくなってくる! このアルバムはChessレーベルからの5作目で、The Kinksのカヴァーでもよく知られている「Cadillac」が収録されている他、タイトル曲の「Gun Slinger」や「Ride On Josephine」など、口ずさみながら体が動いてしまうこと間違いない!1961年リリース。

-In The Spotlight-


Chessレーベルからの4作目。超名盤!このジャケットに写っている四角いギターを初めて見たときは、「こんなギターあるんや?!」ってな感じで驚かずにはいられなかった。「Road Runner」「Let Me In」など名曲多数!リリースは1960年。

四角いギターに「Go Bo Diddley」のジャケットでも着ていた派手なタータンチェックのスーツと、今思うと、このBo Diddleyという人は当時としては、かなりコンセプトがはっきりしていた人のようだ。曲の大半が8ビートではなく2ビートを基本としてるとこも、ブルースとロックンロールの架け橋的な存在と言われてるのはとても納得のできるところ。ちなみに、BO GUMBOSの「BO」はBo Diddleyの「BO」からきてるのは有名な話。どんとさんも四角いギター弾いてたなぁ。

そんなBo Diddleyの影響は、未来永劫この先も続く。

現在、79才のロックンローラー。

これもブルース。

初掲載:2007.12.28.
加筆、修正:2010.10.08.


追記:2008年6月2日、心不全のため永眠されました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
2010.10.01 (Fri)
Booker T. & The M.G.''s

Booker T. Jones (Organ),
Steve Cropper (Guitar),
Donald "Duck" Dunn, Lewis Steinberg (Bass),
Al Jackson Jr. (Drums),


Otis ReddingやSam & Daveで有名な、アメリカはテネシー州のメンフィスにあったレコード・レーベル「STAX」。そもそもはこのスタジオのハウスバンドとしての出会いから「M.G.'s」として始まったようだ。なので前記のOtis Redding、Sam & Daveを始め、Staxレーベルのシンガーのバックトラックを演奏した曲数はハンパない。そんな猛者達のインストゥルメンタルが世の中にリリースされたのが1962年だった。

-Green Onions-


タイトル曲の「Green Onions」を聴いたことがない人は、おそらくいないんじゃないだろうか?と思うくらい、いろんなところで流れているし、インパクトの強い曲だ。もともとはM-6「Behave Yourself」のB面用の曲としてつくられたとのこと。曲のタイトルは「出来る限りファンキーなものにしよう!」と、当時のベーシスト、Lewis Steinbergのアイデアで「Onions(タマネギ)」を付けるのは決まっていたらしく、最初は「Funky Onions」と呼ばれていたようだ。 Booker T. & The M.G.'sの代名詞にもなっているこの曲「Green Onions」は当時のリズム&ブルースチャートでNo.1になっている。

Booker T. & M.G.'sのアルバムを初めて買ったのは1994年のこと。当時のウルフルズのプロデューサー、伊藤銀次氏に「『Melting Pot』ってアルバム聴いてみて。サンコン絶対好きだと思うよ!」と教えてもらったのがきっかけだった。銀次さんには本当にいろいろと教えてもらったなぁ。

-Melting Pot-


1曲目のタイトル曲は、もう、呆然とするしかない!しばらくは身動きがとれなくなるんじゃないか?と思うくらいの迫力で迫ってくる。他にも「Back Home」、「Chicken Pox」、「LA Jazz Song」、「Sunny Monday」など名曲多数。この4人での最後のアルバムになってしまったが、間違いなく名盤だ。1971年リリース。

-Doin' Our Thing-

1968年リリースのアルバム。あまり有名なアルバムではなく、オレも最近ようやく手に入れた(CDは入手困難だが、iTunes Storeに行くとこの他にも入手困難なM.G.'sの音源が売っているのでとてもありがたい!)。内容はThe Soul Survivorsで有名な「Expressway (To Your Heart)」をやっていたり、The Associationの「Never My Love」があったりとなかなか渋い選曲だが、タイトル曲の「Doin' Our Thing」はドラマーのために録音されたのだろうか?というくらい、Al Jacksonのすごさが本当に良くわかる曲だ。さぁ、練習、練習。

-We'll Get Over/The Staple Singers-

ゴスペル・コーラス・グループ、The Staple SingersがStaxレーベルに移籍して2枚目のアルバム。M.G.'sのギタリスト、Steve Cropperがプロデュースしている。もちろんリズムセクションもM.G.'sのリズム隊だ。Booker T. Jonesは参加していないようだが、このアルバムも名曲、名演がたくさん収録されている。ビックリしたのが「ソーラン節」を日本語でカヴァーしていること!!!タイトルクレジットには、「Solon Bushi (Japanese Folk Song)」と書かれていて、実に惜しい。まぁ、そんなおまけは置いといて、本当に素晴らしいアルバムなので一度聴いてみて欲しい。

The Staple Singersもいつか取り上げたいなぁ。


2010.10.01.
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