MUSIC

2011.02.10 (Thu)
これもブルース 第10回 木村充揮さんとの対談! 前編
連載当時「10回目なんでなんかスペシャルな内容にしたいのですが、、、」と編集の方から嬉しいお言葉をいただき、ダメもとで「元憂歌団のボーカル、木村充揮さんと対談したい!!!」とお願いしたところ、トントン拍子で実現してしまった!!!


2008年の2月18日、神戸のジャズ喫茶「JAMJAM」にて。

サンコンJr.:タバコ、ずっと吸われてますよね。

木村:うん、そうね。

サ:でも歌声も全然変わらないじゃないですか。

木:喉にいいことはないんやろうけど、でもむっちゃ悪いってもんでもないんちゃうかな。人って悪いもんて本能で出てくるやんか。溜まりすぎたらやばい!なんとか出さんと!って。

サ:そうですね。歌を歌い出したのはいつ頃なんですか?

木:バンドで歌ったんは「憂歌団」が初めてやなぁ。中学の頃から友達とギター弾いて遊んだりしてて。歌は高校出たぐらいからかな。友達のとこ遊びに行ってて「ちょっと歌ってみたら?」いわれて、ちょっと歌ってみたら、「ええやん、ええやん、歌ったら」みたいな。



サ:えっ、そんなノリやったんですか!

木:そうそうそう。海苔好き?

サ:ガハハハハ!好きです!

木:ハハハハハ、そうかぁ。んで、小学校、中学校時代は人よりキー高いねん。キー高いからみんなに合わせたら低くて、オクターブ上げたら逆に「ワー!」言うわけやん。みんなクスクス笑うんよ。そんな感じやった。ほめてもうたこともなかったわ。

サ:そうなんですか。楽器をやるきっかけはなんだったんですか?

木:親父もギター弾いてたし、友達もギター弾いてたから、まぁ、周りの環境かな。

サ:その当時流行ってた音楽を聴いたり弾いたりしてたんですか?

木:それこそ中学の頃なんかGS(グループサウンズ)みたいなんを、ちょこっとしたりしとったなぁ。ギター持ったら「禁じられた遊び」弾いてみたり、あるやんか、そういうの。

サ:「禁じられた遊び」は僕もやりました。兄貴がギター持ってたから。とりあえずこれを弾けなあかんみたいな。弾けたとこでどうなんやろって感じでしたけど。

木:そうそう、なんとなく「ペンペンペン」とか「チョッチョッチョッ」とやってる間に、コードがあるのとか知り出して、いつのまにか弾けるようになっとった。どうやって覚えたんか知らんねん。そんなんやから人に教えたくても教えられへんのよ。弦の張り方とか、チューニングの仕方もどうやって覚えたんかわからへんねん。やってたらわかってくるやろ!ってやっとったから。

サ:すごいですね!

木:ギターも打楽器もピアノもすぐ音出るやん。もうサックスとか音が出るまで時間がかかるやつは、あかんわ。苦手やわ。

サ:僕もダメですわ。何年か前に、メンバーで管楽器吹けるようになろう!ってトランペット買ったんですけど、僕だけ音出なくて、早々にやめました。

木:ドラムはいつからやってるの?

サ:興味を持ったのは中学からなんですけど、兄が二人いてギターとベースやってたんですよね。で、同じ楽器を始めて教わるのも癪やったんで、じゃあ鍵盤か打楽器かなと。鍵盤は向いてないやろなぁと思ってドラムを選んだんですよ。うちのおかんが「これであんたがドラムやったら兄弟でバンド組めるなぁ」とか言ってましたね。結局組まなかったですけど。

木:ドラム言うたら憂歌団の島田が近所におってんけど、学区が違うからまだ、そんな知らんねん。で、家からドラムの音が聴こえてきて、「お、ここドラムあんねや、このドラ息子めぇ」って思とってん。

サ:ハハハハハ。たしか島田さんの家の裏にある倉庫で練習してたって・・・

木:そう。高校ぐらいかな。島田が軽音(学部)の部長やっとって、「勘太郎と練習したいねんけど部室貸してくれへん?」いうたら「ええよ」って。で家が近所でもあるし、「今度遊びにいってええか?」いうたら「ええよ」って。で行ったらベースの花岡も来てて、そんときはベース弾いたことなかったんやけど、「ギター弾けるんやったら、ベースも弾けるんちゃうか?」ってその場にあったベース弾いて。ほんならおもろいから(ステージ)出てみよかと、そんなノリよ。で金もろうたからみんな嬉しなぁ、いう感じやったな。

サ:わーっ、そんな感じで始まったんですね!そうだ、話が変わるんですけどマディ・ウォーターズと共演したんですよね?たしか80年でしたっけ?

木:うん、そう。マディは一緒にやって、ちょっとしてから亡くなってしもうた。年齢もええ歳やったしなぁ。76年に、スリーピー(・ジョン・エスティスの来日公演の前座とバックバンドを務めた)とやったときも、ちょっとしたら亡くなってもうたし。マディとかバケモンやもんな。

サ:え、バケモンですか???



木:大阪のサンケイホールでやってな、もうええ歳やで。マディの歌声はまぁ、(イメージが)あるやんか。で、ギター弾いてんのパッと見たときにタコみたいやった。

サ:タコ???

木:「ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン」てもうここ(手首)フニャフニャや。向こうの人、みんなスナップやわらかいやん。そのボトルのちょっとしたタイミングもあるんやけど、そのちょっとしたタッチな。「うわっ!」って。

サ:へぇー!木村さんでもそう思われたんですか?

木:うん。あれを真似しようとするやつがいたら、アホや。

サ:あー。

木:それぐらい、すごいな。

サ:はー。

木:あのころの人って、バック(バンド)の人もみんなバケモンばっかりやん。なんであんときの人って、みんなあんなにすごいんかなって思うぐらい。エルモア・ジェイムスも超強力やしなぁ。

サ:木村さんが見てもバケモンやと思います?

木:バケモンやで。マディもそうやし、エルモアも、いろんな人いっぱいおるけど、リトル・ウォルターとか聴いてもめちゃめちゃやもんなぁ。悪魔やで。

サ:ガハハハハ!顔もめっちゃ怖いですもんね。



木:顔もそうやけど、音聴いてるだけで、すごい世界観やもんな、、、。

後編につづく。


初掲載:2008.02.29.
加筆、修正:2011.02.11.