MUSIC

2010.08.13 (Fri)
これもブルース 第4回 「ブルースと、スケベ心と、ルイジアナ!」
Slim Harpo
スリム・ハーポ



本名は James Moore(ジェイムス・ムーア)。この人との出会いも、The Rolling Stonesだった。ファーストアルバムに収録されていた「 ( I'm a ) King Bee」という曲で、「ウェラマキングベー、バズンラーンジョンハイ」と淡々と進む構成が、もう退屈で退屈で、正直、嫌いな曲だった。しかし、いま聴いてみると、原曲に対してかなり忠実な演奏、そして間奏にはBrian Jonesの弾くスライドギターが入っていて、その音が「ブンブン」と飛んでいるハチの羽音のように聴こえるのがおもしろい。

-Raining In My Heart-


Slim Harpoの原曲を聴いたのはウルフルズに入ってからだった。これは、たしかケイスケ氏に貸してもらったものだったと記憶している。「Raining In My Heart」と「Tip On In」というアルバムをセットで借りたのだが、この人の独特な声というか、発声というか、 歌声を初めて聴いたときは衝撃だった。「えーっ!?これもブルースなのか!?」と。そんな 鼻から抜ける甘い声で、歌ってる内容はというと「そう、俺は蜂の王様。お前の巣の周りをブンブン飛び周り、最高の蜂蜜を作れるぜ。さぁ俺を中に入れとくれ。」と、かーなりスケベな内容だ。しかし、この甘い声で歌っているところを想像してみると、かなりモテたんじゃないかな。きっと「キャー!キャー!スリムー!」と黄色い声援を浴びていたに違いない。

-Tip On In-


そんな甘い声のSlim Harpoが歌うブルースは 、Muddy Watersらのシカゴ・ブルースのノリとはまたひと味違い、リズム&ブルースやロックンロールにかなり近いように思う。ルイジアナ・ブルースと言われているだけあって、New Orleans特有のノリを感じるのはオレだけだろうか。アレンジはシンプルでわかりやすく、歌はヒョウヒョウとしてて、どこまでもとぼけた感じがあるのだが、リズムの枠組みはとても太くてしっかりしている。きっとこの組み合わせが絶妙な説得力を生み出しているのだろう。そういえば、New Orleansのピアニスト&シンガーのProfessor Longhairも、ヒョウヒョウとした歌と独特のリズムという組み合わせだったなぁ。そこには何かがあるのかも知れない。

-Exile On Main ST/The Rolling Stones-


このアルバムに収録されている「Shake Your Hips」という曲も、Slim Harpoのナンバーだ。こういうところが、The Rolling Stonesのセンスの良さと言うか、さすがといったところ。


ある日のこと、「サンコンさん、髪伸びるのはやいですねー。髪が伸びるのがはやい人はいやらしいってよくいいますよね。」といわれ、

「そうねぇ、ははははは。」

と返したのだが、この「髪が伸びるのがはやい=スケベ」みたいな因果関係は一体どこまで本当の話なんだろうか?オレも、もちろん、スケベには間違いないが、スケベはスケベでもムッツリ・スケベなんよねー、これが。だからオープンなスケベの人には、、、憧れがある。オープンなほうが、あんまりいやらしい感じがしないし。って、なんの話?。この方程式みたいなものが正しいとすると、Slim Harpoだけじゃなく、昔のブルースマン達は、皆、すっごい勢いで髪の毛が伸びていたに違いない。オープンだろうが、ムッツリだろうが、何事にも「スケベ心」は大切ということか。

これもブルース。


初掲載:2007.11.30.
加筆、修正:2010.08.13.