MUSIC

2010.07.09 (Fri)
これもブルース 第3回 「マディ! アイム、レディ!」
Muddy Waters マディ・ウォーターズ
本名 McKinley Morganfield



おそらく、初めてオレが耳にしたブルースマンの名前が、このMuddy Watersだ。直訳すると「泥水」なんだが、「どろみず」って、、、。もちろんこれは本名ではなくニックネーム。本名は、McKinley Morganfield。子供の頃、泥んこになって遊んでたから、こう呼ばれるようになったとか。そういえば、ブルースマンの名前はニックネームの人がやたらと多い。Howlin WolfやBo Diddley、Junior Wellsもそうだ。Slim Harpoって名前の人もいるなぁ。そういうオレもサンコンJr.と名乗っているのだが、、、。ちなみに小学校のときのニックネームは「サコジョウ」だった。まぁ、そんな話は置いといて、、、。

Muddy Watersを知ったのは、当然ながらというか、やっぱりThe Rolling Stonesのおかげだった。彼らのファーストアルバムに「I Just Want To Make Love To You」(邦題「恋をしようよ」)という曲が入っていて、ライナーノーツを読んでいると、「この曲は1954年にR&Bチャートでベスト5に、、、、、。」とあり、そこに書かれていた名前がMuddy Watersだった。

さぞや原曲もすごいことになっているに違いない!と勝手な期待に胸ふくらませ、レンタルレコードショップ(当時はまだCDはなかったので、LPレコードを貸してくれるお店が普通だった)に足を運んだ。「The Best Of Muddy Waters」を借りて、家に帰り、1曲目に収録されていた「I Just Want To Make Love To You」に針を落とすと、聴こえてきたのは思いもしていなかった音楽だった。「えぇー!なにこれ?」っていうくらい、The Rolling Stonesのカヴァーとは対照的で、全く好きになれなかった。The Rolling Stonesの超攻撃的でスピード感バリバリなアレンジに対し、Muddy Watersの原曲は、かなりゆったりとしていて、メチャメチャ渋いアレンジ。今聴くと、もちろんカッコイイのだが、その「渋さ」は当時の血気盛んなオレには楽しめるはずもなく、「ブルース」という音楽へ目に見えない壁を作ってしまう。

-The Best Of Muddy Waters-


この妖しく浮かび上がるMuddy Watersの顔!The Rolling Stonesのバンド名にもなった「Rollin' Stone」、名曲「I Can't Be Satisfied」、「I'm Ready」など、Chess時代の代表曲がギュっと詰まっている。まぁ、ベストなんで当然と言えば当然か。現在はボーナストラックが追加されたものが発売されている。


そんな、若造だったオレも20才年をとって、今またMuddy Watersを聴いている。しゃべるように歌い、話すようにギターを弾いているMuddy Waters。いや、歌うようにしゃべってるのかなぁ。とてもかっこいい。また、Muddy Watersのバンドがすごいんだ!何十年も前に録音された音楽に、こんなにもワクワクしたりドキドキするのは、やっぱりそこに音楽の原点があるからだと思う。そう思ってMuddy Watersを聴いているとなんだか嬉しくなってくる!

-Muddy Waters At Newport-


まず、レコードジャケットがカッコイイ!20才の頃に買ったと思うのだが、当時、このレコードを買った理由は「I've Got My Mojo Workin'」が入っていたからだった。ジャケットに書いている通り、1960年のNewport Jazz Festivalでのライヴ録音なんだが、歌と演奏がすごすぎて、もう、本当に脱帽だ。


「Keep Goin' On!」


生前、Muddy Watersがよくいってた言葉だそうだ。


「やりつづけろ!」


くぅー、ありがとう、マディ!


これもブルース。



追記:連載当初、ブルースマンのイラストを描き出したのは、この回が最初だった。イラストの感じが他の回とかなり違っているのはそのため。当時、このMuddy Watersを描き終え(たしか、5分くらいで描いたと思う)、近くにいたジョン・B・チョッパー氏に見せるも、「全然似てへんで」と言われたのがきっかけで、次の回から真剣に描くようになった。「似てる」「似てない」は別として、このときのジョン・B・チョッパー氏の一言は「真剣さが足りないんじゃない」と言いたかったのではと、いまになって思う。真剣にイラストを描いていないのを見透かされていたと言うか、、、。 この一言はとても有り難かった。 何事も「真剣」に取り組めば取り組むほど、楽しさはどんどん増えていくからね!

連載1回目のElmore Jamesと2回目のThe Rolling Stonesは当然ながらイラストがなかったので新たにというか、やっとこさ描いたといった感じ。転載ができてなかったらきっと描いていなかったと思う。そのうち、このMuddy Watersのイラストも「真剣」に描き直して、こっそり変わっているかもしれない。


初掲載:2007.11.16.

加筆・訂正:2010.07.09.