MUSIC

2011.09.23 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第17回「バック・ビートをたたいたドラマー!」

Earl Palmer


連載のタイトルを「ハート・オブ・ロックンロールにしよう!」と決めたとき、真っ先に浮かんだのはこの偉大なドラマー、Earl Palmerだった。が、第1回目からマニアックになりすぎるのもどうかなー?と思いやめたわけなんだが、ようやく紹介することができた!今回は「Rock'n'Roll」の誕生に深くかかわった偉大なるドラマー!Earl Palmerにスポットライト!

まず略歴を紹介すると、1924年10月25日にアメリカはルイジアナ州、New Orleans生まれ。幼少の頃からタップダンサーとしてステージに立ち、ドラムを始めたのもこの頃。19歳でプロドラマーとしての活動を開始。最初の仕事はストリッパーの伴奏だったという。第二次大戦後、トランペッター兼プロデューサーのDave Bartholomewのバンドに参加したのをきっかけに、Fats Domino、Professor Longhair、Lloyd Price、Earl Kingなどのレコーディングに参加。その後は拠点をNew OrleansからL.A.に移し、Little RichardやSam Cooke、Eddie Cochran、Ritchie Valensなど、現在のポピュラーミュージックにつながる、源流のような人達とのレコーディングに参加している。残念ながら2008年の9月19日、84才の生涯を終えてしまったのだが、64年間のドラマー人生でレコーディングにかかわった曲数は、なんと、4万曲弱というから驚きどころじゃあない!!!


「8ビートを作ったドラマー!」とか「バックビートの創始者!」という言われ方をよくされるEarl Palmer。実際、それはどういうことなのか?そもそもバックビートとは何ぞや?という方に簡単に説明すると、8ビートのドラムパターンを口ずさむとすると、「ドンタンドドタン」とか「ドンタドドンタン」と言う風な口ずさみかたになると思うのだが、その最初の1拍目の「ドン」の部分は「ダウンビート」と呼ばれている。その後ろに出てくる、拍子で言うところの2、4拍目の「タン」の部分を「バックビート」と呼ぶのだが、「Rock’n’Roll」という音楽の形体が出てくるまで、その「タン」というアクセントは、いまほど強調されていなかったというのだから驚きだ。2004年10月号のドラムマガジンに掲載されていたEarl Palmerのインタヴューでも「当時のリズム&ブルースやビ・バップなどのジャズで「タン」というバックビートを強調することはほとんどなかった。バックビートを強く叩くようになったのは「Rock'n'Roll」が出てきてからだ。New Orleans出身の私には「Rock'n'Roll」の始まりにかかわる準備ができていた。みんなが踊れるようにバックビートを強く叩く必要が出てきたときに、それに対応できたんだ」と語っている。「みんなが踊れるようにバックビートを強く叩いた」というこの言葉に、Earl Palmerが「Rock'n'Roll」の誕生に深くかかわっていたことが読み取れる。この記事を改めて読んで、以前、元憂歌団の木村充輝さんが対談したときに「歌とダンス(リズム)があればみんな楽しくなれるやん!」と言っていたのを思い出した。

「Rock'n'Roll」を作ったとされるLittle RichardやChuck Berry、Bo Diddley、それにElvis Presley、Eddie Cochran、Buddy Holly、その人達と同じくらい「Earl Palmer」という名前も、是非とも覚えてもらいたいもんだ。

-BACKBEAT~The World's Greatest Rock'n'Roll Drummer/Earl Palmer-

4万曲弱のレコーディングに携わったEarl Palmer。その音源全てを網羅するのは至難の技だろう。もちろんオレもほんの一部しか知らないのだが、このアルバムはそんな問題を一気に解決してくれる!全30曲に渡りLittle Richardから、Fats Domino、Ritchie Valens、Eddie Cochranなどなど「Rock'n'Roll」誕生前後の楽曲がずらりと並んでいる!ドラムをやっている人には超超超オススメのアルバム!!!

-New Orleans Drumming/V.A.-

これはいわゆる教則ビデオなるものなのだが、これがすごい!!!インタビュアーとドラマーの対話形式で「あの曲はどう叩いているの?」「あぁ、あれはこうさ!」みたいなノリで実演があり、バンドでもさらに演奏したりと、ドラマーだったら知りたかったことが満載のDVD!!!ここでのEarl Palmerのセッションでピアノを弾いているのは、なんとAllen Toussaint!!!New Orleansの音楽が好きな人にオススメ!


初掲載:2009.08.25.
加筆、修正:2011.9.23.