MUSIC

2010.11.01 (Mon)
The Ramsey Lewis Trio / The Young -Holt Unlimited

The Ramsey Lewis Trio / The Young -Holt Unlimited

あまり聞き慣れないバンド名(グループ名か!)だと思うけど、Ramsey Lewisという人の名前はどこかで聞いたことがある人もいるのでは。

シカゴ出身のピアニスト、Ramsey Lewisは1956年、BassのEldee YoungとDrumsのIsaac “Redd” Holtと「The Ramsey Lewis Trio」を結成。ブルースの名門レーベル、Chessレコーズからデビュー。1965年にリリースしたライヴ・アルバム「The In Crowd」が大ヒット。このヒット曲を境にBassのEldee YoungとDrumsのIsaac “Redd” Holtは離脱し、「The Young Holt Trio(のちのThe Young-Holt Unlimited!)」を結成し、"Wack Wack"や"Soulful Strut"などヒットを出す。一方、Ramsey LewisはBassにCleveland Eaton、DrumsにMaurice White(のちのEarth, Wind, & Fireのリーダー!)と共に新たなThe Ramsey Lewis Trioを始動。1970年にはDrumsがMaurice WhiteからMaurice Jenningsへ。以降メンバーチェンジを繰り返しながら、バンド名義も現在の「Ramsey Lewis」へ。

ざっと経歴を紹介したが、どんな音楽かと言うと、「とてもわかりやすいJazz/Soul Instrumental 」というのが一番良いだろうか。Jazzのスタンダードナンバーあり、古いNew Orleansのナンバーあり、当時流行のPopsのカヴァーがあったりと、常にポピュラーミュージックを意識していたように思う。そういう意味では前回のBooker T. & The M.G.'sと同じものを感じるのはオレだけか?The Ramsey Lewis Trioはオレの中では「Jazz」という音楽をとても身近に感じさせてくれた素敵なバンドだ!

The In Crowd / The Ramsey Lewis Trio-


アルバムThe In Crowdを初めて聴いたのは、もう10数年も前のこと。当時はかなり背伸びして聴いていたのもあり、全然おもしろさはわからなかったのだが、ウルフルズのサポートピアノマンでおなじみの、伊東ミキオ氏と一緒に「The In Crowd」を演奏してから興味が深まったのは間違いない。それから、このトリオのリズム隊が大好きになりThe Young-Holt Unlimitedを聴くようになったのもオレの中では当然の流れだった。

-Wack Wack / The Young Holt Trio-


表題曲、「Wack Wack」は「The In Crowd」をさらにソウルミュージックに寄せたとでも言ったら良いのか、痛快なナンバーで聴いているだけで楽しくなってくるそんなゴキゲンなナンバーだ!!!一度、自分のイベントでも演奏したのだが、また機会があったら演奏したい曲ナンバー1だ!!!写真左がIsaac "Redd" Holt、手前がEldee Young、その後ろがPianoのHysear Don Walker。このアルバム以降バンド名が「The Young-Holt Unlimited」に。

-Soulful Strut / The Young-Holt Unlimited-

1968年、The Young-Holt Unlimitedとして「Soulful Strut」が大ヒット!いろんなところで流れているので、きっと聴いたことがある人も多いと思う。しかしこの曲、Barbara Acklinという女性シンガーの「Am I The Same Girl」という曲のバックトラック(カラオケ)にピアノをダビングして、The Young-Holt Unlimited名義でリリースされたという曰く付きの曲だ!

オレはドラマーなので、どうしてもそのバンドのドラマーが気になってしまうのだが、このIsaac "Redd" Holtの叩き出す歯切れよいサウンドとビートは今聴いてもなんの遜色もなく、かなり過小評価されているとオレは思う。確実にもっと評価されて良いと思うドラマーの一人だ。そういう意味でもオレの中での「The Ramsey Lewis Trio」といえば、やはり最初の3人のときの音源になってしまうのは仕方のないこと。アルバムは他にも比較手に入りやすい「In Chicago + Stretching Out」や、「At The Bohemian Caverns」などもあるので、興味のある方は聴いてみて欲しい。


2010.11.01.
2010.10.01 (Fri)
Booker T. & The M.G.''s

Booker T. Jones (Organ),
Steve Cropper (Guitar),
Donald "Duck" Dunn, Lewis Steinberg (Bass),
Al Jackson Jr. (Drums),


Otis ReddingやSam & Daveで有名な、アメリカはテネシー州のメンフィスにあったレコード・レーベル「STAX」。そもそもはこのスタジオのハウスバンドとしての出会いから「M.G.'s」として始まったようだ。なので前記のOtis Redding、Sam & Daveを始め、Staxレーベルのシンガーのバックトラックを演奏した曲数はハンパない。そんな猛者達のインストゥルメンタルが世の中にリリースされたのが1962年だった。

-Green Onions-


タイトル曲の「Green Onions」を聴いたことがない人は、おそらくいないんじゃないだろうか?と思うくらい、いろんなところで流れているし、インパクトの強い曲だ。もともとはM-6「Behave Yourself」のB面用の曲としてつくられたとのこと。曲のタイトルは「出来る限りファンキーなものにしよう!」と、当時のベーシスト、Lewis Steinbergのアイデアで「Onions(タマネギ)」を付けるのは決まっていたらしく、最初は「Funky Onions」と呼ばれていたようだ。 Booker T. & The M.G.'sの代名詞にもなっているこの曲「Green Onions」は当時のリズム&ブルースチャートでNo.1になっている。

Booker T. & M.G.'sのアルバムを初めて買ったのは1994年のこと。当時のウルフルズのプロデューサー、伊藤銀次氏に「『Melting Pot』ってアルバム聴いてみて。サンコン絶対好きだと思うよ!」と教えてもらったのがきっかけだった。銀次さんには本当にいろいろと教えてもらったなぁ。

-Melting Pot-


1曲目のタイトル曲は、もう、呆然とするしかない!しばらくは身動きがとれなくなるんじゃないか?と思うくらいの迫力で迫ってくる。他にも「Back Home」、「Chicken Pox」、「LA Jazz Song」、「Sunny Monday」など名曲多数。この4人での最後のアルバムになってしまったが、間違いなく名盤だ。1971年リリース。

-Doin' Our Thing-

1968年リリースのアルバム。あまり有名なアルバムではなく、オレも最近ようやく手に入れた(CDは入手困難だが、iTunes Storeに行くとこの他にも入手困難なM.G.'sの音源が売っているのでとてもありがたい!)。内容はThe Soul Survivorsで有名な「Expressway (To Your Heart)」をやっていたり、The Associationの「Never My Love」があったりとなかなか渋い選曲だが、タイトル曲の「Doin' Our Thing」はドラマーのために録音されたのだろうか?というくらい、Al Jacksonのすごさが本当に良くわかる曲だ。さぁ、練習、練習。

-We'll Get Over/The Staple Singers-

ゴスペル・コーラス・グループ、The Staple SingersがStaxレーベルに移籍して2枚目のアルバム。M.G.'sのギタリスト、Steve Cropperがプロデュースしている。もちろんリズムセクションもM.G.'sのリズム隊だ。Booker T. Jonesは参加していないようだが、このアルバムも名曲、名演がたくさん収録されている。ビックリしたのが「ソーラン節」を日本語でカヴァーしていること!!!タイトルクレジットには、「Solon Bushi (Japanese Folk Song)」と書かれていて、実に惜しい。まぁ、そんなおまけは置いといて、本当に素晴らしいアルバムなので一度聴いてみて欲しい。

The Staple Singersもいつか取り上げたいなぁ。


2010.10.01.
2010.09.01 (Wed)
Jose Feliciano ホセ・フェリシアノ

Jose Feliciano
ホセ・フェリシアノ


おそらくこの名前を聞いて「!」となる人は、そんなに多くはいないだろう。プエルトリコ出身のシンガー兼ギタリスト。緑内障のため目はほとんど見えない。しかしながらこの人が弾くスパニッシュ・ギターと、ソウルフルでエネルギーに満ちあふれる歌声には、いまだに心をわしづかみにされる。

そんなJose Felicianoに出会ったのは、たしか12~3年前くらいだった。渋谷の中古レコード屋さんを巡り、「新入荷」の棚を端から端まで見ていたときにふと、目に留まったジャケットがこれだった。

-That The Spirit Needs-


なんともカッコイイこのジャケット。値段も1000円するかしないかだったので、「失敗してもいいや」ぐらいの気持ちでレジへ。 家に帰り、針を落として歌が聴こえてきた瞬間、「!」となったのをいまでも覚えている。 俗に言う「ジャケ買い」(CDやレコードのジャケットから、その中身の音楽を想像して買うという、とてもリスクの高いレコードの買い方)で成功した数少ない例だ。一時期、車のCMで流れていた、Cat Stevensの「Wild World」のカヴァーが収録されているのもこのアルバム。 現在CDで発売されているものはジャケットが違うので、興味のある方にはアルバムタイトルで探すことを勧めたい。

当時のクラブシーンでJose Felicianoが歌う、Stevie Wonderの「Golden Lady」のカヴァーが大ヒット(そういう言い方はおかしいのかな?)していたのも、たくさんアルバムが出ていることも全く知らず、事務所にいた音楽通の人にいろいろと教えてもらった。現在「Golden Lady」の収録されたアルバムが手元にないので、その他のアルバムを今回は紹介しよう。

-Feliciano!-


1968年にリリースされた大ヒットアルバム。The Doorsの「Light My Fire」や、The Beatlesの「In My Life」、The Mamas & The Papasの「California Dreamin'」、Bobby Hebbの「Sunny」など、ほとんどの曲がカヴァー曲で構成されている。このアルバムが一番好きという人もけっこう多く、いまだに人気の高いアルバムだ。

-Just Wanna Rock 'N' Roll-

1975年リリースのこのアルバム。このジャケットをジャケ買いする勇気は、残念ながらオレにはない。しかしながらこのアルバムに収録されているThe Temptationsのカヴァー「I Can't Get Next To You」や、Jose Felicianoのスパニッシュ・ギターが炸裂するインストゥルメンタル曲「Affirmation」は是非とも聴いてみて欲しい!近年、ようやくCD化されたようで嬉しい限りだ。

今回紹介できなかった「Golden Lady」が収録されているアルバム「And The Feeling's Good」や、Steve Cropperプロデュースの「Memphis Menu」、「Compartments」、「From My Love...Mother Music」など、名盤が多く残されているので、機会があれば聴いてみて欲しい。きっとJose Felicianoのことを好きな人は多いと思う。


2010.09.01.
2010.08.02 (Mon)
Otis Redding
オーティス・レディング

Otis Redding
オーティス・レディング


高校生の当時、あまり知らなかったブラック・ミュージックやリズム&ブルースの世界に興味を向けてくれたのは、やはりThe Rolling Stonesの存在が大きかった。中でもよく聴いたThe Rolling Stonesのアルバム「Out Of Our Heads (U.S.盤)」には、Otis Reddingの「That's How Strong My Love Is」や、Sam Cookeの「Good Times」、Don Covayの「Mercy, Mercy」、Solomon Burkeの「Cry To Me」、Marvin Gayeの「Hitch Hike」と、Stax、Atlantic、RCAといった南部出身のリズム&ブルース・シンガーの名曲と、Motown所属のシンガーの名曲のカヴァーが収録されている。それに加えてOtis Reddingのカヴァーヴァージョンでも大ヒットした、The Rolling Stonesの大ヒット曲「( I Can't Get No )Satisfaction」も収録されていて、オレにとってはThe Rolling Stonesの中でもとても重要なアルバムだ。70年代のThe Rolling Stonesとはまた違った良さが凝縮されている。

-Out Of Our Heads/The Rolling Stones-


ブルースのみならず、リズム&ブルースの名作カヴァーも数多く残しているThe Rolling Stones。他にもOtis Reddingのナンバーは「I've Been Loving You Too Long」と「Pain In My Heart」をカヴァーしている。


さて、そんなOtis Reddingの最大の魅力とはなんだろう。やはりオレにとっては感情むき出しのそのヴォーカルスタイルだ。Sam CookeやJames Brownとはまた違った感情表現で、感情というよりも「激情」といったほうがピッタリとくるかもしれない。人によっては、そこが「暑苦しすぎる」と感じて、遠ざけてしまう人もいるかもしれないが、オレはその「暑苦しさ」がたまらなく大好きだ!

そんなOtis Reddingの「激情」を知りたいという方には、スタジオ録音盤よりもさらにエネルギッシュなライヴ盤をおすすめしたい。中でも1967年に行われた「モンタレー・ポップ・フェスティヴァル」でのライヴパフォーマンスは圧巻だ!Sam Cookeの「Shake」で始まるこのライヴは、全5曲、分数にすると約20分ととても短いのだが、バックを務めるBooker T. & The M.G.'s with The Mar-Keysの演奏も含めて、まさに「激情」そのもののライヴだ!

-Monterey International Pop Festival/Otis Redding/The Jimi Hendrix Experience-


1967年、6月の16日、17日、18日の3日間に渡ってアメリカはカリフォルニア州のモンタレーで行われた伝説的なミュージック・フェスティヴァル。Otis Reddingは17日の夜の部に出演。そして最終日の18日の夜の部では、当時、楽器を破壊するパフォーマンスで話題になっていた、The WhoとJimi Hendrixが激突。両者とも「我々が先に出演する!」と譲らず、決めかねた主催者がコイントスで順番を決めたといわれている。結果、The Whoが先に出演し、いつも通り楽器を破壊し聴衆に大ウケ。その後出演したJimi Hendrixが楽器破壊+ギターを燃やしたといわれている、伝説のミュージック・フェスティヴァル。

ここでのOtis Redding + Booker T. & The M.G.'s with The Mar-Keysの歌と演奏には「激情」以上のものを感じてしまう。特に「I've Been Loving You Too Long」と「Try A Little Tenderness」の2曲は、何度聴いても、胸が熱くなってしまう。

残念ながら現在このアルバムはCD化されていないようだが、1986年に映画として公開されたものが、「Jimi Plays Monterey/Shake! Otis At Monterey!」としてBlu-ray Discで発売されているようだ。国内盤の発売を心より願う。

-Otis Redding Live In Lodon and Paris-

その昔、「Live In Europe (邦題:ヨーロッパのオーティス・レディング)」としてリリースされていたアルバムが、9曲追加されて2008年にリリースされたもの。こちらももちろん、熱く、激しいOtis Reddingが感じられる!!!上のアルバムと同じく、バックを務めるのは、Booker T. & The M.G.'s with The Mar-Keysだ!

-The Immortal-

Otis Reddingの死後リリースされたこのアルバム。ウルフルズに加入した直後、トータス松本氏に「これ聴いたことあるか?」と貸してもらったのもあり、オレにとっては思い出深いアルバムだ。「I've Got Dreams To Remember」、「Hard To Handle」、「The Happy Song」など、名曲が多数収録されている超名盤だ!この他にも「Otis Blue」や「Dictionary Of Soul」など名盤がたくさんリリースされているので、興味のある方は是非聴いてみて欲しい。

2010.08.02.

2010.07.01 (Thu)
Sly & The Family Stone
スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン
Sly & The Family Stone
スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン


2008年の9月、奇跡の初来日を果たしたSly StoneことSylvester Stewart。まだその記憶が残っている方も多いのではないだろうか。オレも幸運なことに、ブルーノート東京でのライヴパフォーマンスを観ることができた。もちろん、全員がオリジナルメンバーではないのだが、当時のオリジナルメンバーだったCynthia Robinsonがライヴのオープニングで「Say! Get Up and Dance To The Music!」と、あの声で叫んだときは鳥肌が立ち、それだけで感動してしまった!

実質、Sly Stoneがステージにいた時間はかなり短かったものの、「Family Affair」や「If You Want Me Stay」を歌っている姿を観れただけでも、オレは十分だった。また、バックを務めていたバンドの演奏が本当に素晴らしく、現代的な「Sly & The Family Stone」と言うとわかりやすいだろうか。なんせ本当に素晴らしい演奏だったのだ!!!

-Dance To The Music-


タイトル曲は知っている方も多いと思う。先のブルーノート東京でのライヴのオープニングもこのタイトル曲だった!!!そんなこともあり、このアルバムはやはり外せない。リリースは1968年、セカンドアルバム。

-Stand!-


言わずもがなの名作!超名盤!!大傑作アルバム!!!数あるSly & The Family Stoneのアルバムの中でも一番聴いたアルバムでもあるし、本当に大好きなアルバムだ!リズム&ブルースと当時のサイケデリック・ロックが合体したら、Sly流のファンク・ロックが生まれたという感じだろうか。明快なわかりやすさがこのアルバムの大好きなところ。

高校生の頃、一緒にバンドをやっていた山本くんにカセットテープに録音してもらいよく聴いていたのだが、彼にはSly以外にもいろんな音楽を教えてもらった。感謝!そんな頃、京都の映画館で「Woodstock」と「Hail! Hail! Rock'n'Roll」(Chuck Berryの映画!)の豪華2本立てのレイトショーがあり、当時のバンドメンバーと一緒に観に行ったのだが、WoodstockでのSly & The Family Stoneのインパクトは強烈だった!しかも「I Want To Take You Higher」の歌詞が、本当は「I Want, I Want, I Want To Take You Higher!」と歌っているところを、何を勘違いしたのか、「A Motor, A Motor, A Motor Cycle Is A Honda!」という字幕が出て来て「なんじゃこりゃー!!!」と腹を抱えて大笑いした記憶がある。そんな歌詞なわけないのにね!Motor Cycle Is A Honda! ではなく、「I Want To Take You Higher」もこのアルバムに収録されている。1969年にリリースされた4枚目の作品。

-There's A Riot Goin' On-


大傑作アルバム「Stand!」に続く1971年リリースの5枚目のアルバム(間にGreatest Hitsがリリースされている)。このアルバムも名盤中の名盤!開放的で肉感的、異常なまでの体温を感じる前作「Stand!」とは対照的に、内側に熱く深く向かっていくこのアルバム。「Family Affair」や「Running Away」など名曲多数収録。Sly Stoneのセンスが爆発している1枚!

どうやらSly Stoneが薬物中毒になっていったのは、このアルバムの頃からとのことらしい。そんなこともあり、もう表舞台には戻ってこないものだと思っていたのだが、冒頭にも書いた奇跡の初来日!全世界のSly Stoneファンが喜んだのは間違いない。

今回紹介できなかったアルバム「Fresh」や「Small Talk」も名盤なので興味のある方は是非、聴いてみて欲しい。

2010.07.01.



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