MUSIC

2010.12.24 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第8回「マキシマム・リズム・アンド・ブルース・バンド!」

The Who are

Roger Daltrey (Vo.)
Pete Townshend (Gt. Vo.)
John Entwistle (Bass)
Keith Moon (Drums)



2008年、単独で初来日したThe Who。これは絶対見逃してはなるものかと日本武道館の公演を見に行った。オリジナルメンバーはRoger DaltreyとPete Townshendの2人になってしまったが、Ringo Starrの息子、Zak Starkeyをドラムに、そしてベースにPino Palladinoを迎えてのライヴは強烈だった!!!数々の名曲のイントロが鳴るたびに日本武道館に「ワーーーーー!」でもなく「キャーーーーー!」でもない、「ゴォーーーーーーーーッ!!!!!」というすさまじい歓声が起き、その歓声にあおられてさらに鳥肌が立ったのは忘れられない。

そんな狂熱のライヴ終了後、ミーハーなファン心もまだまだあって、The WhoのTシャツを購入。そのTシャツに書かれていた「Maximum R&B」の文字。そういえば、The WhoのTシャツやポスターにはこの言葉がよく書かれている。MaximumなRhythm & Bluesって一体どんな音楽なんだろう?そんなとき思い出したのがLittle Richardの「Rock'n'RollはアップテンポなRhythm & Blues!」と言う言葉。なにか共通点があるように思えて仕方がない、、、。

そんなことを思いながらThe Whoのファーストアルバム「My Generation」をひさびさに聴いてみた。高校生の頃に初めて聴いたThe Whoは忘れもしないこのアルバムだ!!!

-My Generation-

タイトル曲の「My Generation」や「The Kids Are Alright」が収録されているのもあって、本当によく聴いたアルバム。そしてなによりもいま聴くと「Maximum Rhythm & Blues」という言葉が本当にピッタリとマッチしている!!!
Rock'n'Rollと言ってしまうとそれまでなんだが、そう簡単には言わせない何かをものすごく感じるアルバムだ!!!

-A Quick One-

そしてもう一枚、「My Generation」と同じくらい聴いたアルバムがオレの場合はこのアルバムだった。1966年リリースのこの2ndアルバムには超名曲「So Sad About Us」、John Entwistle作の「Boris The Spider」、そしてKeith Moon作の「I Need You」が収録されている。The Rolling StonesのTVショウ、Rock and Roll Sircusで演奏しているアルバムラストの「A Quick One While He’s Away」を見てない人は是非見て欲しい!


リズム・アンド・ブルースとロックンロールの旅はまだまだ続く。

2008年、来日に合わせて「Amazing Journey」というドキュメンタリー映画が日本でも公開され、その映画がDVDで発売されるという(当時)。The Whoのことをもっと知りたいという人は是非見てみて欲しい。

-Amazing Journey-


未発表映像や、現在のインタヴューなど、超盛りだくさんな内容!
必見!!!

初掲載:2009.03.06.
加筆、修正:2010.12.24.
2010.11.26 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第7回 「兄弟とバンド!」

The Kinks are

Ray Davies - Vo. Gt.
Dave Davies - Vo. Gt.
Mick Avory - Drums

Bass-
Pete Quaife
John Dalton
Andy Pyle
Jim Rodford



あまり耳なじみのない「kink」という英単語に複数形の「S」がついてる「The Kinks」。どういう意味なのか辞書を引いてみると「1-もつれ、ねじれ、2-ひねくれ、へそ曲がり、風変わりなところ」となっている。そう言われるとそういう風に聴こえてくるThe Kinksの曲達。今回は実の兄弟が中心になっているバンド、The Kinksにまつわる思い出話し。

-Something Else-

高校生の頃に組んでいたバンドはDavid Bowieのコピーをしたり、The Beatlesのコピーもやったり、The WhoやThe Jamのコピーもやっていた。The Jamのサードアルバム「All Mod Cons」に収録されていた「David Watts」を聴いて、その曲のオリジナル、The Kinksを知ったという人は、きっとオレだけじゃないと思う。そんな
きっかけでアルバム「Something Else」を聴いたのはこの頃だ。
なんとも独特な雰囲気を持つRay Daviesの作り出す曲と歌声に吸い込まれるように、The Kinksの世界にスーッと入って行った。オレの頭の中にどんよりとした曇り空が漂っているイギリスの空を想像させてくれたこのアルバムは、高校時代、本当によく聴いた。超名曲「Waterloo Sunset」収録!1967年リリース。

-The Village Green Preservation Society-

数あるThe Kinksのアルバムの中で1枚だけしか聴いてはいけない!と、もしもそんな法律ができたら、オレは迷わずにこのアルバムを選ぶ!名盤の中の名盤だろう。1曲目の「The Village Green Preservation Society」はオレの心の中の1曲だ!!!当時このアルバムがセールス的には成功しなかったことがオレには信じられないが、そんなアルバムは実は世界中にはたくさんある。1968年リリース。

-Phobia-


その後も、The KinksのあんなCDやこんなレコードを買ったり、借りたりしながら聴いていたそんなある日のこと、仕事の関係で東京に住んでいた2番目の兄が「博幸、お前これ聴いた?」と差し出したのは当時のThe KInksの最新アルバム「Phobia」だった。レコード会社をいろいろと変わり、音楽性もいろいろと変わっていたThe Kinksの最新アルバムに、正直いうとあまり興味をそそられはしなかったが、「この曲むっちゃええぞ!」と聴かしてくれたアルバムラストの曲「Scattered」は、そんなオレのしょうもない考えをブチ壊してくれるほどの名曲だった!この曲を聴くと、自転車で行き来できる距離に住んでいた兄のアパートの部屋を思い出す。

最近、CD6枚組のアンソロジーボックスセット「Picture Book」が出たり、RayさんとDaveさん揃っての活動再開という噂もチラホラと聞く、The KInks(連載当時)。ステージ上で殴り合うことがあるくらい中が悪い兄弟とは言われているけど、すばらしい名曲を作り歌ってきたのも、その兄弟というのは間違いのないこと。

初掲載:2009.02.20.
加筆、修正:2010.11.26.
2010.10.22 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第6回 「月と踊るベルファストのロックンローラー!」

Van Morrison 本名 George Ivan Morrison


「ベルファスト(北アイルランドの首都)のThe Rolling Stones」と言われていたバンド「Them(ゼム)」のヴォーカリストから出発し、現在に至るまで地道に、確実に自分の音楽を作ってきた人。今回紹介するVan Morrisonはそんな人だ。

高校生の頃、David Bowieのコピーバンドをやっていたこともあって、当然ながらDavid Bowieのレコードをよく聴いていた。中でも「Pin Ups」というカヴァー曲ばかりのアルバムには、The Whoや、The Kinks、Pretty ThingsなどDavid Bowieが影響を受けた曲とともに、Themの大ヒット曲「Here Comes The Night」も収録されていた。David Bowieのヴァージョンはいま聴くと、かなりドラマチックに仕上げられていて、それはそれでオレは好き。

-Pin Ups/David Bowie-

1973年リリースの全編カヴァーで構成されているアルバム。David Bowieがどんな人達に影響を受けたのかが良くわかる1枚。中でもオーストラリア出身のバンド、The Easybeatsはこのレコードで知って大好きになり、彼らのレコードが欲しくて中古レコード屋さんを探しまわったもんだ。Themの「Here Comes The Night」は2曲目に収録されている。


そんな経緯もあり、当時一緒にバンドをやっていたギターの山本くんに「Them」のレコードを録音してもらい、初めてVan Morrisonの声を聴いたときの衝撃たるや!!!The Rolling StonesのMick Jaggerも、The Animalsのヴォーカル、Eric Burdonも霞んでしまうほどのインパクトだった!そんなインパクトのある声とは裏腹に、ジャケットに写っている風貌のなんとも地味なこと。そんなギャップがよけいに好きになった。中でも一番聴いたのは「Them Again」という2ndアルバムだ。

-Them Again-

1曲目の「Could You Would You」の雰囲気はいま聴いても本当に最高だ!!!James BrownやRay Charles、Bob Dylanといろんな人のカヴァー曲が入っているのもこのアルバムの魅力だろう。

その後、Themを脱退したVan Morrisonは、単身アメリカに渡ってソロアルバムをリリースしていく。ソロ1stの「Astral Weeks」から「Moondance」、「Tupelo Honye」、Dr. Johnと一緒に作った「A Period Of Transition」と挙げればきりがないほど名盤だらけのVan Morrisonのアルバムの中から1枚だけ選ぶとしたら、やはり「Moondance」だろうか。初めてVan Morrisonを聴く人にはとても入りやすいアルバムだと思う。オレ自信もそうだった。その昔、ウルフルズに入って間もなく、ウルフルケイスケ氏にもらったカセットテープに録音されていたのが「Moondance」だった。当時、実家の自転車屋を手伝いながら、店先にラジカセをぶら下げてこのカセットテープを繰り返し聴いていたのを覚えている。

-Moondance-


去年もアルバム「Keep It Simple」をリリース(連載当時)したVan Morrison。地道に、確実に自分の音楽を探し続け、いまだに精力的な音楽活動を続けているVan Morrisonが言うところの「Keep It Simple」という言葉にはとても説得力がある。2009年2月には「Astral Weeks Live」というアルバムとDVDがリリースされるようだ(連載当時)。あぁ、日本でライヴやってくれないかなぁ。

-Keep It Simple-


ソロ通算33枚目のスタジオレコーディングアルバム。ジャケットの顔がどこか尊い僧侶に見えるのはオレだけだろうか。

-Astral Weeks Live-


まさか!!!そんなライヴが開催されようとは!!!!Van Morrisonファンの誰もが想像すらしていなかったはずだ!!!!!!永遠の名盤をライヴでも!!!!!


初掲載:2009.02.06.
加筆、修正:2010.10.22.
2010.09.24 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第5回「ワイルド・サイドから帰ってきたロックンローラー!」

Lou Reed ルー・リード

高校に入ってから、兄や新しい友達の影響でいろんな音楽を聴くようになった頃、友達に録音してもらったのが「The Velvet Underground & Nico」(通称「バナナ」)だった。1曲目の「Sunday Morning」の親しみやすいメロディから、David Bowieもカヴァーしていた「I’m Waiting For The Man」へと、いままでに聴いたことのない音の世界に導かれて良く聴いたのを思い出す。しかしながら高校生のオレには「Heroin」と「European Son」の2曲は刺激が強すぎたので、当時はあまり聴いていなかった。

-The Velvet Underground & Nico-

いまでも良く見かけると思われるこのアルバムジャケット。このバナナはシールになっていて、はがすとバナナの中身の絵が出てくるようになっている。なんともすごい仕掛けだ。このジャケットをデザインしたのはバナナの下にデカデカと名前が載っている「Andy Warhol」という芸術家。The Rolling Stonesのアルバム「Sticky Fingers」のジャケットもこの人のデザインだ。

-Transformer-

Lou Reedというソロ名義になってからはたくさんのアルバムがリリースされているが、中でも忘れられないのはこの2作目の「Transformer」だ。プロデューサーにDavid Bowieを迎えて作られたこのアルバムは、ヒット曲「ワイルドサイドを歩け(Walk On The Wild Side)」が収録されているのもあって、発売当時は大ヒットしたようだ。オレが最初に聴いたLou Reedもこのアルバムだった。いま聴いても思うことは、まず歌のバランスがデカイ!ははは!かなりの音量でLou Reedの声が飛び出してくるのだが、それがなんとも気持ちがいい!「Satellite Of Love」や「Perfect Day」など名曲がたくさん入ってる超名盤!!!

けっこうボソボソと歌うというか、しゃべるというか、Lou Reedの歌はとても独特な歌い方だと思う。声にもすごく特徴があって、「あ、Lou Reed!」とすぐにわかる。同性愛やドラッグ、ときには破滅的で暴力的なステージング、とまぁ実にさまざまな生き方をしてきたLou Reed。歌が上手とかうまくないとか、そんなことはどうでも良くなるくらい、いつの時代のアルバムにもLou Reedの歌の中に何か熱いものを感じてしまう。うまく言えないけど、オレがLou Reedの音楽を好きなところはそういうところだと思う。


Lou Reedには「Rock’n’Roll Heart」という曲があるのだが、この連載のタイトルを考えているときに浮かんだのがこの曲のタイトルだった。で、その時にNeil Youngの「Heart Of Gold」が偶然流れていたのもあって、「Heart」つながりでこの連載のタイトルになった。Neil Youngもいつか取り上げたいなぁ。

-Rock’n’Roll Heart-


これがその曲が入っているアルバム。タイトルもそのままのRock’n’Roll Heart。あまり売れなかったアルバムのようだがタイトル曲の熱さが好きだ!

今回紹介した以外にも、The Velvet Underground時代の3枚目のアルバム「The Velvet Underground」やソロになってからの「Blue Mask」や「New York」、「Set The Twilight Reeling」など、名盤がたくさんあるので興味のある方は是非!


初掲載:2009.01.23.
加筆・修正:2010.9.24.

2010.08.27 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第4回「ロカビリーの使者!」

Eddie Cochran エディ・コクラン

Eddie Cochranといえばこの曲「C’mon Everybody」が一番知られていると思う。中学生の頃、The Modsのラジオライヴが兄の部屋から流れていて、その時に聴いたThe Modsヴァージョンの「C’mon Everybody」が最初だった。そのときは誰の歌かは知らなかったが、覚えやすくてカッコいい曲という印象だった。Stray Catsをはじめ、いまでもたくさんの人に演奏されている不滅の名曲はこの人の曲だ。

-12 Of His Biggest Hits/Never To Be Forgotten-

「ドウィドゥドゥ、ドウィドゥドゥ」とベースのリフから始まる「C'mon Everybody」が1曲目の左側のアルバム!まさにオレが高校生の頃、聴いていたアルバムがこれだ。いまはCDになり、しかも2イン1で発売されていてとってもお得。


「Summertime Blues」という曲はウルフルズもカヴァーしているのだが、これももとはと言えばEddie Cochranの曲で、1958年にリリースされ、自身初のミリオンセラーとなったヒット曲だ。The Whoのカヴァーバージョンがあまりにも有名すぎて、オリジナルの「Summertime Blues」を聴いたときは、まさかこれが同じ曲とは思えなかったが、オリジナルの「Summertime Blues」も間違いなく永遠の名曲だ!日本の先輩方では、うじきつよし氏率いる子供バンドや、RCサクセション、そして憂歌団がカヴァーしているのがステキ。

-Live At Leeds/The Who-

言わずと知れたThe Whoの、イギリスはリーズ大学でのライヴを収録したアルバム。数々のヒット曲とともに「Summertime Blues」も演奏されている!The Whoのアルバム「Odds & Sods」にスタジオヴァージョンも収録されているが、初めて聴く方にはこちらのライヴヴァージョンを勧めたい。


第3回で取り上げたKeith Richardsも自身のソロライヴで演奏している「Something Else」。この曲もオリジナルはこの人、Eddie Cochran。この曲でドラムを叩いているのがEarl Palmerというスーパードラマーなんだが、この人、Fats Domino、Little Richard、Professor Longhairなどのバックで叩いていた、いわばロックンロールの誕生に大きな貢献をした偉大なドラマーだ!!!約50年前の曲ということを全く感じさせない、この生き生きとしたスピード感、躍動感!!!ああ、超名曲。

-LIve In Boston/Keith Richards and The X-pensive winos-


1曲目が「Something Else」で始まる1993年のボストンでのライヴDVDがこれだ!ソロ2枚目の「Main Offender」発表後のライヴと思われる。The Rolling Stonesの曲も何曲か演奏しているので、興味のある方は是非!


とまぁEddie Cochranの名曲を3曲取り上げてみたのだが、他にもThe Rolling Stonesもカヴァーしてる「Twenty Flight Rock」や、Elvis Presleyを彷彿させる「Sittin’ In The Balcony」など、まだまだ名曲はあるので興味のある方は聴いてみてほしい。交通事故により21才の若さで亡くなったEddie Cochran。「ヒルビリー」というカントリーミュージック以前の白人の音楽と、「ブルース」から発展した黒人の音楽、R&Bやロックンロールが合わさってできたという「ロカビリー」。Eddie Cochranの果たしたことはあまりにも大きい。


初掲載:2009.01.09.
加筆・修正:2010.08.27.