MUSIC

2011.01.21 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第9回 「イースト・エンドの顔役達!」

Small Faces are

Steve Marriott (Vo. Gtr.)
Ronnie Lane (Bass. Vo.)
Ian Mclagan (Key.)
Kenny Jones (Drums)



「・・・シャッラッララーリーーー、ウィーーー!」とTVから突然、聴きなじみのあるフレーズが、、、(連載当時)。もちろん曲はSmall Facesの「Sha-La-La-La-Lee」なんだが、、、うーん?なにか、ちょっと、違う。まず歌っているのが女性で、「シャッラッララーリーーー」以外の歌詞がフランス語のようだ。でも、それが全く違和感なく聴こえ、原曲よりもさらにポップになっているから音楽はおもしろい!自分の好きな曲がTVやラジオから聴こえてくると、単純だが嬉しくなってしまう!そんなこともあって、今回は「Small Faces」を取り上げてみた。

1960年代後期のイギリスで起こった「Mods」というムーヴメントの中、その代表とされたのが前回紹介した「The Who」と今回の「Small Faces」の二つのバンドだった。出身地の違いから「西(ウェスト・エンド)のThe Who、東(イースト・エンド)のSmall Faces」という言い方をされ、比較されることもしばしば。メンバーが小柄だったことと、「顔役」とか「大物」という意味での「フェイス」がバンド名の由来になっているという。

-Small Faces-

1966年にリリースされたファーストアルバム!Sam Cookeのカヴァー曲「Shake」で始まるごきげんなアルバムだ!他にも「Sha-La-La-La-Lee」、「What'cha Gonna Do About It」、「I've Got Mine」などシングル曲も満載。ライナーノーツにもあるが、後のLed Zeppelinを彷彿させる「You Need Loving」は是非聴いてみて欲しい。


Small Facesを教えてくれたのも、高校の頃の友達、山本くんだった。彼には本当にいろいろなバンドやミュージシャンを教えてもらった。初めて聴いたアルバムは「The Autumn Stone」という未発表音源を含むベスト盤だった。その中に収録されていた「Sha-La-La-La-Lee」はもちろんのこと、「All Or Nothing」や「My Minds Eye」はその当時のヘビーローテーションだった。なんせ、突き刺さるようなSteve Marriottの歌声と、熱く激しいバンドの演奏が強烈で、耳から離れなかったのを覚えている。Small Facesも、前回のThe Whoに負けず劣らず、マキシマムなリズム&ブルースを演奏しているバンドだというのは、聴いてもらえるとわかると思う。

-The Autumn Stone-

懐かしいジャケットだ。このアルバムを聴いていなかったら、Small Facesに出会うのはもっと遅かっただろう。東京に出てきてこのアルバムのCDが中古レコードショップで売っていたので買って帰って聴いたら、大好きな曲がライヴバージョンで収録されていてがっかりしたのを覚えている。当時聴いてた音源のまま聴きたかったんよね。現在はいろんなベスト盤が出ているので自分にあった1枚を探してみて欲しい。

連載当時、来日していたRod Stewartがその昔、在籍していたバンド「Faces」は、Small FacesからVo.&Gt.のSteve Marriottが脱退し、後任のヴォーカルとしてRod Stewartが、ギタリストとしてRon Woodが参加した際に、二人が小柄じゃなかったので「Small」をとって「Faces」になったという話。

どちらもカッコイイバンドなのだ。

初掲載:2009.04.03.
加筆・修正2011.01.22.
2011.01.07 (Fri)
これもブルース 第9回 不世出のブルースドラマー!
Sam Lay サム・レイ


Martin Scorsese監督が製作総指揮の「The Blues Movie Project」という、マニアにも初心者にも楽しめるブルースにまつわる映画が数年前に何本も公開されたのだが、その中の一つ「Godfathers and Sons (Marc Levin監督)」で、「世界最高のブルースドラマーで、Muddyとも共演。Paul Butterfield Blues Bandの結成メンバー!このニューポートでBob Dylan初のエレキ・ギター演奏の伴奏を!そんな伝説の男!不世出のSam Lay!」と高々と紹介され、ド派手な黄色のスーツで現れたのがこの人だった。

その後、Paul Butterfield Blues Bandのファーストアルバムを初めて聴いたのだが、先ほどの映画のときは「ふーん、そうなんや」くらいにしか思っていなかった自分が恥ずかしくなるくらい、このアルバムは素晴らしかった!!!

-The Paul Butterfield Blues Band-


先入観というものは怖いもので、ずいぶんと昔に聴いたときの印象があまり良くなく、やたらとギターソロが長いのがPaul Butterfield Blues Bandなんだと勝手に思い込んでいたので、それ以降全く聴かずにいたのだが、このファーストアルバムはそんなオレの先入観をブチ壊してくれた!!!Sam Layのキビキビとしたドラミングが気持ちいい!!!名盤だ!!!

-An Anthology : The Elektra Years-


上記のファーストアルバム以前の音源が収録されているこのベスト盤。もちろんドラムはSam Layだ!!!Little Walterの「Off The Wall」やJames Cottonの「One More Mile」、転がりまくるインスト「Nut Popper#1」など興味深い音源が収録されている!残念ながらSam Layがこのバンドに在籍していたのはファーストアルバムまでなのだが、その後は、ソロ名義のアルバムをけっこうリリースしているので興味のある方は聴いてみてほしい。


そうこうしていると、思いがけないところでこの人の名前を発見してしまった。Magic Samのアルバム、「Ann Arbor Blues Festival」のドラムが、なんとSam Layだったのだ!!!

-Ann Arbor Blues Festival / Magic Sam-


アルバムライナーノーツによるとライヴ当日、Magic Samは大遅刻で会場に到着したようだ。以下はその時の会話をオレなりに想像してみた。


主催者「おおー、来てくれたかー!!!サムー!!!」

Magic Sam「どうもすいません。家を出る直前にお腹が痛くなっちゃって、、、」

主催者「そうかそうか、じゃあ早いとこステージに上がって、、、あれ?2人なの???トリオ編成って聞いてたけど???」

Magic Sam「そうなんですよー、ちょっとドラマーが急用でこれなくなっちゃって、、、どうしようかなぁ、、、」

主催者「ええーっ!!!でもお客さんたち待ってるよ!!この場でキャンセルなんかしないでね!!!」

Magic Sam「ええ、わかってます。ちょっとだけ待っててもらえますか?」


とその場から消えたらしい。

その数分後、Sam Layを引き連れてステージに上がっていたという、、、。

この数分間に何があったのかはわからないが、おそらく別のバンドで出演していたSam Layが快く引き受けたのは間違いなさそうだ。

ドラマーは人間的にもプレイ的にも、「ノリ」が大事ということか。

目指すはそんなドラマー。

これもブルース。


初掲載:2008.02.15.
加筆、修正:2011.01.07.
2011.01.01 (Sat)
フラワーカンパニーズ
フラワーカンパニーズ

鈴木圭介 - Vo. Harp
グレートマエカワ - Bass
竹安堅一 - Guitar
ミスター小西 - Drums

フラカンことフラワーカンパニーズと出会ったのはいまから15年ほど前。当時、新宿にあったライヴハウス「日清パワーステイション」で、どんとさん&ちほさん、フラカン、そしてウルフルズの3バンドで「Saturday  Night R&R Show」に出演したときだった。なんせ「名古屋からすごいバンドがやってきた!」という噂で持ち切りだったので、楽しみというより、「負けてたまるか!」って気持ちと「やりづらいなぁ、、、」って感じが入り交じった、なんかそんな出会いだったように思う。

その後はお互いのライヴを見に行ったり、新作のCDを送りあったり、と仲良くさせてもらっているのだが、2010年9月、小西くんの足のケガにより4本ほど彼らのツアーを手伝うことになった。

まだツアーでの演奏曲が決まる前に、真っ先に聴き直したアルバムがこのアルバムだった。

-発熱の男-


所属していたレコード会社から離れて、自分達で立ち上げたレーベル「Trash Records」からの第2弾アルバム!ジャケットのインパクト(竹安画伯!)もさることながら1曲目の「発熱の男」を聴いた瞬間の衝撃はいまでも覚えている。いまやライヴでは欠かせなくなった「真冬の盆踊り」、「馬鹿の最高」、「NUDE CORE ROCK'N'ROLL」、「裸の大将」などなど、名曲揃いの超名盤!!!!!オレの大好きなアルバムだ!!!2003年リリース。

-東京タワー-


Trash Recordsから続けざまにリリースされたこのアルバム。なんせタイトル曲が素晴らしい!!!当時のライヴを渋谷O-westに見に行ったのだが、タイトル曲の「東京タワー」を血管がブチ切れんばかりな勢いで歌う圭介くんの姿に、涙が止まらなかったことを思い出す。超名曲だ!!!

-世田谷夜明け前-


「深夜高速」収録のTrash Records第4弾アルバム!この中から今回のツアーでは「深夜高速」、「永遠の田舎者」、「アイム・オールライト」を一緒に演奏させてもらった。「初恋」も名曲だ!

-チェスト!チェスト!チェスト!-


そして2010年11月にリリースされた傑作ニューアルバム!!!なんせ1曲1曲のクオリティが素晴らしい!!!オレが言うのもなんなんだが、本当にいろんな人に聴いてもらいたいアルバムだ!!!

今年で結成22年目を迎えるフラワーカンパニーズ。

日本屈指の最高のライヴバンド。

2011.01.01.
2010.12.24 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第8回「マキシマム・リズム・アンド・ブルース・バンド!」

The Who are

Roger Daltrey (Vo.)
Pete Townshend (Gt. Vo.)
John Entwistle (Bass)
Keith Moon (Drums)



2008年、単独で初来日したThe Who。これは絶対見逃してはなるものかと日本武道館の公演を見に行った。オリジナルメンバーはRoger DaltreyとPete Townshendの2人になってしまったが、Ringo Starrの息子、Zak Starkeyをドラムに、そしてベースにPino Palladinoを迎えてのライヴは強烈だった!!!数々の名曲のイントロが鳴るたびに日本武道館に「ワーーーーー!」でもなく「キャーーーーー!」でもない、「ゴォーーーーーーーーッ!!!!!」というすさまじい歓声が起き、その歓声にあおられてさらに鳥肌が立ったのは忘れられない。

そんな狂熱のライヴ終了後、ミーハーなファン心もまだまだあって、The WhoのTシャツを購入。そのTシャツに書かれていた「Maximum R&B」の文字。そういえば、The WhoのTシャツやポスターにはこの言葉がよく書かれている。MaximumなRhythm & Bluesって一体どんな音楽なんだろう?そんなとき思い出したのがLittle Richardの「Rock'n'RollはアップテンポなRhythm & Blues!」と言う言葉。なにか共通点があるように思えて仕方がない、、、。

そんなことを思いながらThe Whoのファーストアルバム「My Generation」をひさびさに聴いてみた。高校生の頃に初めて聴いたThe Whoは忘れもしないこのアルバムだ!!!

-My Generation-

タイトル曲の「My Generation」や「The Kids Are Alright」が収録されているのもあって、本当によく聴いたアルバム。そしてなによりもいま聴くと「Maximum Rhythm & Blues」という言葉が本当にピッタリとマッチしている!!!
Rock'n'Rollと言ってしまうとそれまでなんだが、そう簡単には言わせない何かをものすごく感じるアルバムだ!!!

-A Quick One-

そしてもう一枚、「My Generation」と同じくらい聴いたアルバムがオレの場合はこのアルバムだった。1966年リリースのこの2ndアルバムには超名曲「So Sad About Us」、John Entwistle作の「Boris The Spider」、そしてKeith Moon作の「I Need You」が収録されている。The Rolling StonesのTVショウ、Rock and Roll Sircusで演奏しているアルバムラストの「A Quick One While He’s Away」を見てない人は是非見て欲しい!


リズム・アンド・ブルースとロックンロールの旅はまだまだ続く。

2008年、来日に合わせて「Amazing Journey」というドキュメンタリー映画が日本でも公開され、その映画がDVDで発売されるという(当時)。The Whoのことをもっと知りたいという人は是非見てみて欲しい。

-Amazing Journey-


未発表映像や、現在のインタヴューなど、超盛りだくさんな内容!
必見!!!

初掲載:2009.03.06.
加筆、修正:2010.12.24.
2010.12.10 (Fri)
これもブルース 第8回「リアル・ジャパニーズ・ブルース・バンド!」
憂歌団

▲木村充揮 Vo. Gt.


▲内田勘太郎 Gt.


▲花岡献治 Bass


▲島田和夫 Drums


最初に聴いたのはどっちが先だったのか?

「大阪ビッグ・リバー・ブルース」がTVで流れていたのが先なのか、兄の部屋のステレオから「ベスト・オブ・憂歌団ライヴ」が聴こえてきたのが先なのか・・・。どっちにしても高校3年のときだったと思う。それまで「憂歌団」の名前は知ってたものの、なかなかその扉を自分では開けることができなかったのだが、そんなときにTVから流れてきたのが「大阪ビッグ・リバー・ブルース」だった。

いま思うと憂歌団の歌う「大阪ビッグ・リバー・ブルース」は、ブルースという音楽にあまり興味のない人に対して、憂歌団ならではのわかりやすさ、というか親しみやすさと言ったほうがよりピッタリくるだろうか。この曲は「Blues」というものをかなり噛み砕いて「ブルース」の扉を開けやすくしてくれたようにオレは思う。「ぅぉおおさかぁー!」という木村さんの歌い方を当時は真似したりしたものだが、自分がVo.を目指さなくて本当に良かったと思っている。

ベスト・オブ・憂歌団ライヴ-


同時期に兄の部屋から聴こえてきたこのアルバム「ベスト・オブ・憂歌団ライヴ」は、自分では何もブルースのことなどわかってはいなかったが、それでも、それまで聴いてきたバンドやシンガーとは明らかに違うものがあるのはわかっていた。当時のお気に入りはA面ラストの「ザ・エン歌」。もちろん今でも大好きな曲なんだが、いま思うとブルースなのにエン歌とは、、、。

ん?!

なんだ?この違和感は?

と同時にこの違和感のなさは?

日本人のブルースは演歌だ!なんてことは思ったこともないし、これからも思うことはないと思うけれど、憂歌団が演奏して歌うこの曲「ザ・エン歌」は、「もしかしてそうなのかなぁ、、、」と思ってしまうほどの説得力がある。それもこれも憂歌団というバンドならではの説得力だろう。

そういえば「ブルース」を「憂歌」と置き換えたのは、ギターの内田勘太郎さんらしい。その素晴らしいセンスにすべてがあるように思う。そんなこともあって、オレの中で「日本のブルースバンド=憂歌団」なのはこれからも、この先もずーっと変わらない。


関係ないんだが「憂」に「人」が寄り添うと、「優」しいって漢字になるのね。

うーん、なんかわかるような、わからんような、、、。でも「なにか」がそこにある、この感じ。

これもブルース。

-憂歌団-


1975年にリリースされた憂歌団のファーストアルバム。何がすごいって、いま聴いても演奏力、歌唱力がハンパないのが本当によくわかる!!!「嫌んなった」「シカゴ・バウンド」「ドツボ節」「おそうじオバチャン」などなど、名曲だらけの超超超名盤だ!!!


初掲載:2008.02.01.
加筆、修正:2010.12.10.
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