MUSIC

2011.03.11 (Fri)
これもブルース 第11回 木村充揮さんとの対談! 後編


ー前回のつづきー

サンコンJr.:憂歌団の始まりって、元々ブルースが好きな人の集まりやったんですか?

木村:ギターの勘太郎が、(エリック・)クラプトンのレコードのライナーノーツ見たら、B.B.キングやら黒人ブルースに影響受けたって書いてて、自分で探し出して聴くようになってん。で、オレが近所におったから「こんなんあんねんけど、木村、ギター弾けんねんやったら、カントリーブルースとかやって一緒に遊べへんか?」ってそんなノリやねん。

サ:へぇー、そうなんですか。

木:勘太郎がボトルネック自分で作ったりして。その横でサイドギター弾いとってん。

サ:へえぇー。

木:レコードなんかも「『ロバート・ジョンソン』って、絶対ええから、買えよ!」っていわれて、買って、聴いたんよ。エルモアもそうやけど「チュチュチュチュチュチュチュチュチュチュチャイチャン」って全部一緒や。ロバート・ジョンソンも「ウィウィーウィウィーウィーアウィー」って、みんな一緒やなぁ思って。全然ピンとけえへんかってん。

サ:そうなんですか。

木:でもある日の夜中、友達が来たときかなぁ、同じレコードをかけたら、「スポーン!」って入ってきたんよ。「あ、このことか!」って。なんで同じ音が全然違うように聴こえんねんやろう?って思うくらい。人の気持ちってなんかあるやんか。「あ、この感じかなぁ」って。でもその頃は全然わかれへんかった。



サ:へぇー。

木:でも一番わかりやすいんは、ライブやった。初めてB.B.キングを毎日ホールで見たときに、「ドン!」ときた。「うわー、全然ちゃう!」って。レコードもええんやけど、もっともっと、もっともっと感じるものがすごいあった。その印象はずーっと残ってるなぁ。

サ:うわー、すごいですね!

木:76年にカントリーブルースのスリーピー・ジョン(・エスティス)とハミー・ニクソンと一緒に回ったんやけど、曲のキーが全部Gなんよ。簡単は簡単やねんけど(彼らは)自分の弾き方で弾くわけやんか。聴けば聴くほどな、すごいからな、真似なんかできるもんやない。テクニックとかそんなもんちゃうねん。聴けば聴くほどすごいんや。「うわー、なんやろう?」思てな。

サ:なんなんでしょうね?

木:感じるんやけど、これは真似できるもんじゃないって思うねんな。だからオレらはオレらの好きなことを、思うようにやるしかない。ひょっとして、歳いったら、あんなぐらいの雰囲気が出てるんかも知れんし。その頃ベースの花岡がストーンズが好きで、「オレらもずっとやってたら、ストーンズなれるか分からんぞ。もっとやってたら超えてるかも知れん」「そうやのう」とか言いながらやっとってん。

サ:本当にテクニックじゃないですよね。

木:テクニックちゃうよ。人の好みってそれぞれいろんな好みもあるし、クラプトンもものすごい人気もあるし、うまいと思うよ。でもオレはもっともっと感じるもんがあると思う。もっともっと深いもんがあると思う。だって黒人の人とクラプトンが弾いたら全然ちゃうもん。「芯」というか、「人の深さ」というか、「自由」とか、いろいろあんねん、体から出てくるもんが。「黒人やからいい」とかそういうもんじゃないねんけど、もらってるもんがあるんよ、感じるもんが。だからもっともっといろんな音楽聴いて、いろんな人に出会って欲しいなぁと思うねんなぁ。

サ:うわー、すごいですね。僕のこの連載のタイトル「これもブルース」っていうんですけど、「これがブルース!」っていうものがないと思ったからこういうタイトルにしたんですけど、いま、木村さんがおっしゃったことが、「ブルースとはなにか?」って答えなんかなと、、、。結局、その人からにじみ出てくるもんなんかなぁと思ったりして。

木:そんなんやんか。「ブルースって何かな?」って。その人それぞれが思うことやねん。感じて思うことが体から「すっ」と出てくることやと思うんやわ。「ブルースやってるんですね?」って言われんねんけど、「いや、僕は僕です」って答えるんよ。「ブルース」ってただの言葉やんか。「ジャズ」にしろ何にしろ。



サ:うむむ、そうですね。

木:でもな、ブルースっていうもんは「自然」に近いと思うねん。なんか「土」から生まれてくるもんやと、オレは思ってんねん。アーバンブルースとかモダンブルースとかいろいろ言うけど、もともとはそういうもんがあんねん。体から出てくるもんも「自然」やんか。頭でいってるもんは「頭」やんか。体からくるもんて「頭」じゃないから、もっと自然に感じるもんがある。

サ:直接入り込んでくるというか、、、。

木:それもある。もともと中にあるもんやから、あったかいねんな。そんな感じかな。ぎょうさんあるなぁ。「ブルース」いうたらいろんなことがあると思うわ。生きて感じることが全部ブルースちゃうかなぁ。

サ:生きてることがブルースですか!

木:そういうことやん。生きるいうのは、生き方もいっぱいあるけど、生活賭けてるいうのかな。

サ:そうですね。

木:「歌はどうして生まれるの?リズムはどして?」ってあんねんけど、自分の中から勝手に出てくんねんや。「アフリカのリズムがええ!」とかって話になったりするんやけど、結局やるときは全部自分のリズムやからな。



サ:そうですよね。

木:そうやん。だいたい真似から始まるんやけど、「ずーっと真似やっとんなぁ。こいつ自分のリズムでてないなぁ」いうやつがものすごい多いねん。でも子供の頃って勝手に自分のリズムがあんねや、本当は。変にいろいろやってもうたりするから、「そうやないよー!」ってな。何も考えんと出てくるもんが一番気持ちええやん。こう動かなアカンとかじゃなくて、勝手に動けてるってな。

サ:うわー、すごいなー。そうなりたいですよ。

木:一緒やん。そうなりたいいうか、そういう気持ちでやってるってな。「よっしゃ、今日はうまいこと行った!」思っててもな、次の日はガタガタになんねん。そんなんずーっとうまいこと行ってたら、もうつぶれてるって。

サ:ダハハハハ。本当にそう思いますよね。「こないだはこうできたのに、今日は全然ダメだー!」ってね。でもそれも含めて自分やからみたいなところですね。

木:そう。最近、覚えることよりも忘れることのほうが大事やと思ってんねん。特にいいことは忘れろ!って。いいことも悪いことも忘れた方がええねんって。ほなら今をもっと感じるから。過去に引きずられることは、今を感じられへんことになってくるから、あんまりよくないことがいっぱいある。

サ:うわぁ、それすごい言葉ですね!

木:でもな、勝手に出てくんねやんか。出てくるかなぁ?じゃなくて、出てくるから心配ないねん。で楽しなってきたらもっともっと時間欲しい。なんでこんなに楽しい時間が終わってしまうの?って。あぁ、でもそうか、また明日あるやんって思ったらなぁ。

サ:そうですよね。

木:・・・とかなんとかなぁ、いってるけどなぁ、全然アカンわ、ハハハハハ。

サ:いやー、やっぱり一個一個の言葉の重みが違いますよ。

木:ううん。音楽なんてな、年齢でやるもんじゃないし。におたら(臭ったら)感じるし、もうたら(もらったら)頑張るし、溜まったら何か出したいし。そうやってずーっとやるやんか。そんでそのうち、もっと気持ちよくできることがあると思って動いたつもりがちゃんと失敗するって。ハハハハハ。でも失敗しても笑えたらなぁ。それが大事やわ。ちょっとした失敗を深刻にガァーって思うのはなぁ。あんまりなぁ・・・。

サ:ホントそうですよね。でも今日お話できてすごいよかったです。 

木:うん、話すんのも楽しいし、音出すのも楽しいし、飲むんも楽しいし。ムキに楽しもうとすんなよって。ゆっくりせぇゆっくり、勝手に出てくるから。心配せんでも無理せなあかんときは無理せなあかんねんから。ガハハハハ。

サ:ガハハハハ!そうですね。

木:でも無理して続けとったら、できることもできへんようになってまうやんか。調子がいいときって自然に動くから。そんで変に頭で考えてたら、今度は自分のタイミングを逃してしまうから。まずは力抜いてゆっくり持っていったら行けるよーって。僕はそんなこと思うけど。

サ:いやー、自分に言われてるみたいですわ。

木:いやいや、一緒やで。人に言うことって自分に思うことやもんな。

サ:いやー、つくづく自分からは逃げられないなぁ、って思いますよね。

木:人の話もそうやけど、自分が音出すときなんかなぁ、40歳になってやっと人の音を聴けてるような気分になったんやけど、あっというまになぁ、やっぱり人の音聴いてないわ!って。

サ:えーっ!?ほんとですか?

木:うん、自分で思った。でもなそのあとに、オレは人に音を聴かさなあかんタイプやからそれでええねん!って。

サ:そこまでいってるんですね。

木:それが大事で、それを聴いて反応してくれるとかあるやん、お互いやけど。でもバンドのときって、みんな勝手にそういうことができててんなぁ、って。うまい人はいっぱいいるけど、ほんとの「ハーモニー」とか、「うねり」というのはそういうもんじゃないんやろなぁ、思って。なんやろなぁ?って思って。うまい人はいっぱいいるけど、なんやろなぁ?って思って。音出して楽しいってどういうことやろなぁ?とか思ったりしてなぁ。

サ:ううう、すごいです。

木:ブルースってなに?ってあるんやけども、結局は人の気持ちなんやろな。でもオレはブルースいうもんに「自然」とか「土」っていうもんも感じるから好きなのもある。そう、ブルースはシンプルや、わりと。

サ:シンプルすぎて、さっきのスリーピーの話じゃないですけど、真似できへんってとこまで行ってしまいますよね。

木:でも結局1拍でも、その1拍を楽しむのは同じやないわけやんか。その1拍を楽しむことやから、それはもう考えてなくて、勝手にスイングするって感じやんな。まぁ、意識してやってる間は、まぁ、そんなもんやんか。でも、意識すんねやったら、まぁ意識してやったらええやん。

サ:うわー、がんばろー!

木:まぁ、口ではこんなん言ってるけどな。

サ:いやいやいや。でも、だから好きなんやなぁ、っていうのが分かった気がします。木村さん達が作ってきた音楽がなんで好きなのか、すごい確認できた気がします。間違ってなかったなと思えるし。

木:憂歌団のメンバーはみんなけっこうクセあるでぇ。でもな、一緒にやったら一緒に遊べるいうのがな、楽しなってくるいうのがおもしろいと思ってん。なんやろな?

サ:なんでしょうね?

木:それはひょっとしたら、表現する楽しさとか、音楽の力やと思うねんけど。
でも、基本は歌とリズムやからな。リズムってダンスやからな。歌とダンスがあったらなんぼでも遊べるやん。ゴスペルかって楽器がなかっても全然オッケーやん。

サ:そうですよね。あ、そういえば、昔のステージドリンクって毎回お酒やったって本当ですか?



木:そうそう。飲まれへんとき以外はね。まずは一気でぐっと飲んでから始めてたから。酒も弱いししんどいしな。

サ:えっっっ!お酒弱いんですか?

木:弱い!!!

サ:ほんまですか?

木:ゆっくり、ダラダラ飲むのがいい。

サ:えぇっ、そうなんですか!すっごい飲むんかと思ってました!

木・サ:ハハハハハ!!!、、、、、。


こんな感じで、木村さんとの楽しい対談は終わっていった。

連載当時は「〜お話しできてほんとよかったです」までだったのだが、それ以降の会話も今回は載せてみた。

いま読み返すと、木村さんが何を言おうとしていたのか、当時の自分よりもちょっとだけだがわかるような気がする。

木村さん、ありがとうございました!!!

初掲載:2008.03.14.
加筆、修正:2011.03.11.
2011.03.01 (Tue)
PARLIAMENT
PARLIAMENT

グループの中心人物、George Clintonのレコード会社との契約の関係上、同時期に「Parliament」と「Funkadelic」という二つのバンドで活動していた。この二つのバンドを総称して「P. Funk」、「P. Funk All Stars」と言われることも。その「P. Funk All Stars」が確か「George Clinton」名義で(ややこしいなぁ)1989年頃来日しており、当時ウルフルズの他のメンバーは観に行っていたようだ。その後、オレが加入した頃は「P. Funk」がバンド内で流行っていた。中でも「Parliament」は全員が好きだったなぁ。もちろん現在も大好きなバンドの一つだ。

その頃、よく聴いたアルバム。

-Up For The Down Stroke-


1974年リリースのこのアルバム。1曲目のタイトル曲は今聴いても超絶にカッコイイ!!!ここでというか、このバンドでベースを弾いているのはJames Brown、J.B.'sで大活躍した、William Collinsこと、William "Bootsie" Collinsだ!そりゃ好きなハズだわ。M-5のヒョウヒョウとした口笛ソロは聴きもの!!!

-Chocolate City-


続いて1975年にリリースされたアルバム。タイトル曲のM-1からゴキゲンなM-2、Sly & The Family Stoneを彷彿させるM-3、名曲「Soul Man」を思い出させるM-9など、名曲、名演が詰まっているアルバムだ!

-Mothership Connection-


ジャケットに写っている宇宙人とおぼしき人物がGeorge Clintonその人なわけなんだが、この作品から「宇宙」がテーマになっていったのか、以降スペイシーなジャケットが続くことになる。が、なんといっても、Fred Wesley、Maceo Parker、Brecker Brothers、Joe Farrellといったホーン隊の参加というのも見逃せないとろだ。M-1からM-7まで踊り続けてしまうこと間違いナシの超名盤!!!

この他にも、今手元になくジャケットが掲載できないのだが「Parliament Live P. Funk Earth Tour」なるライヴ盤も是非とも聴いてみて欲しい。

2011.03.01.
2011.02.25 (Fri)
ハート・オブ・ロックンロール 第10回 「ロックンロールの革新者達!」前編

The Beatles are

John Lennon (Gt. Vo.)
Paul McCartney (Bass Vo.)
George Harrison (Gt. Vo.)
Ringo Starr (Drums Vo.)



別名「ファブ・フォー」とも呼ばれるこの4人組はイギリスの港町、リバプール(最近ではイギリスのサッカーチームの名前で聞いたことがある人も多いと思う)の出身。今年の9月には(連載当時)ついにデジタルリマスター盤のCDが発売されるという!(しかもなんとモノラルミックス盤も!)これは本当に待ってましたという感じだ!!!!!今回はいまだに話題が絶えないThe Beatlesを取り上げてみた。

ビートルズに興味を持ったのは高校1年のときだった。担任の男の先生は現代社会や倫理を専門にしている先生で、「ビートルズと、永ちゃんと(矢沢永吉氏)、焼酎があったらなんもいらん!」と良く言っていたのを覚えている。先生の授業にもそんなところがよくでていた。ラジカセを持ってきてThe Beatlesの曲を流したり、矢沢永吉氏の曲を流して「この『サティスファイ』とはどういう意味でしょう?」といきなり英語の授業になったり、アコースティックギターを持ってきて、8ビートのロックンロールを弾き始めたと思ったら「4ビートよりも8ビートのほうが興奮するのは、心臓のビート、心拍に近いからなんですね。バイクのエンジンの振動も一緒で、、、、、」と、いつもオレが思ってもいない切り口で切り込んでくる、刺激的な授業だった。勉強はそんなに好きじゃなかったが、先生の授業はいつも楽しみだった。オレがThe Beatlesに興味をもったのはこの先生のおかげだ。

当時、The Beatlesのアルバムが何枚出ているのかも知らなかったし、メンバーの名前もフルネームで言えるのはJohn Lennonだけ。でも不思議と曲は知っていた。「Please Please Me」に「Let It Be」、「Yesterday」に「Help」、「Yellow Submarine」に「A Hard Days Night」などなど、、、。テレビやラジオで流れていたのが頭に残っていたのだが、そんなに興味がない人でも曲を覚えているというのは、本当にすごいなぁとThe Beatlesの偉大さを改めて実感する。




The Beatlesに興味を持ち出したその頃、時代はアナログレコードからコンパクトディスクに変わりつつあり、当然The Beatlesの全タイトルもCD化されて発売された。そんなある日のこと、新聞のラジオ欄を見ると「特集/ビートルズ」と書いている。アルバム全タイトルCD化にともなって、どうやらアルバムごとにフルで流していたようだ。なんてタイムリーな企画!!!この日の深夜0時、ラジカセに新しいカセットテープをセットして待っていると、「ワン、ツー、スリー、フォー、エッヘン、ワン、ツー、オー」と流れてきたのは「Taxman」。そう、アルバム「Revolver」が流れてきたのだ。

後編につづく


初掲載:2009.04.17.
加筆、修正:2011.02.25.

2011.02.10 (Thu)
これもブルース 第10回 木村充揮さんとの対談! 前編
連載当時「10回目なんでなんかスペシャルな内容にしたいのですが、、、」と編集の方から嬉しいお言葉をいただき、ダメもとで「元憂歌団のボーカル、木村充揮さんと対談したい!!!」とお願いしたところ、トントン拍子で実現してしまった!!!


2008年の2月18日、神戸のジャズ喫茶「JAMJAM」にて。

サンコンJr.:タバコ、ずっと吸われてますよね。

木村:うん、そうね。

サ:でも歌声も全然変わらないじゃないですか。

木:喉にいいことはないんやろうけど、でもむっちゃ悪いってもんでもないんちゃうかな。人って悪いもんて本能で出てくるやんか。溜まりすぎたらやばい!なんとか出さんと!って。

サ:そうですね。歌を歌い出したのはいつ頃なんですか?

木:バンドで歌ったんは「憂歌団」が初めてやなぁ。中学の頃から友達とギター弾いて遊んだりしてて。歌は高校出たぐらいからかな。友達のとこ遊びに行ってて「ちょっと歌ってみたら?」いわれて、ちょっと歌ってみたら、「ええやん、ええやん、歌ったら」みたいな。



サ:えっ、そんなノリやったんですか!

木:そうそうそう。海苔好き?

サ:ガハハハハ!好きです!

木:ハハハハハ、そうかぁ。んで、小学校、中学校時代は人よりキー高いねん。キー高いからみんなに合わせたら低くて、オクターブ上げたら逆に「ワー!」言うわけやん。みんなクスクス笑うんよ。そんな感じやった。ほめてもうたこともなかったわ。

サ:そうなんですか。楽器をやるきっかけはなんだったんですか?

木:親父もギター弾いてたし、友達もギター弾いてたから、まぁ、周りの環境かな。

サ:その当時流行ってた音楽を聴いたり弾いたりしてたんですか?

木:それこそ中学の頃なんかGS(グループサウンズ)みたいなんを、ちょこっとしたりしとったなぁ。ギター持ったら「禁じられた遊び」弾いてみたり、あるやんか、そういうの。

サ:「禁じられた遊び」は僕もやりました。兄貴がギター持ってたから。とりあえずこれを弾けなあかんみたいな。弾けたとこでどうなんやろって感じでしたけど。

木:そうそう、なんとなく「ペンペンペン」とか「チョッチョッチョッ」とやってる間に、コードがあるのとか知り出して、いつのまにか弾けるようになっとった。どうやって覚えたんか知らんねん。そんなんやから人に教えたくても教えられへんのよ。弦の張り方とか、チューニングの仕方もどうやって覚えたんかわからへんねん。やってたらわかってくるやろ!ってやっとったから。

サ:すごいですね!

木:ギターも打楽器もピアノもすぐ音出るやん。もうサックスとか音が出るまで時間がかかるやつは、あかんわ。苦手やわ。

サ:僕もダメですわ。何年か前に、メンバーで管楽器吹けるようになろう!ってトランペット買ったんですけど、僕だけ音出なくて、早々にやめました。

木:ドラムはいつからやってるの?

サ:興味を持ったのは中学からなんですけど、兄が二人いてギターとベースやってたんですよね。で、同じ楽器を始めて教わるのも癪やったんで、じゃあ鍵盤か打楽器かなと。鍵盤は向いてないやろなぁと思ってドラムを選んだんですよ。うちのおかんが「これであんたがドラムやったら兄弟でバンド組めるなぁ」とか言ってましたね。結局組まなかったですけど。

木:ドラム言うたら憂歌団の島田が近所におってんけど、学区が違うからまだ、そんな知らんねん。で、家からドラムの音が聴こえてきて、「お、ここドラムあんねや、このドラ息子めぇ」って思とってん。

サ:ハハハハハ。たしか島田さんの家の裏にある倉庫で練習してたって・・・

木:そう。高校ぐらいかな。島田が軽音(学部)の部長やっとって、「勘太郎と練習したいねんけど部室貸してくれへん?」いうたら「ええよ」って。で家が近所でもあるし、「今度遊びにいってええか?」いうたら「ええよ」って。で行ったらベースの花岡も来てて、そんときはベース弾いたことなかったんやけど、「ギター弾けるんやったら、ベースも弾けるんちゃうか?」ってその場にあったベース弾いて。ほんならおもろいから(ステージ)出てみよかと、そんなノリよ。で金もろうたからみんな嬉しなぁ、いう感じやったな。

サ:わーっ、そんな感じで始まったんですね!そうだ、話が変わるんですけどマディ・ウォーターズと共演したんですよね?たしか80年でしたっけ?

木:うん、そう。マディは一緒にやって、ちょっとしてから亡くなってしもうた。年齢もええ歳やったしなぁ。76年に、スリーピー(・ジョン・エスティスの来日公演の前座とバックバンドを務めた)とやったときも、ちょっとしたら亡くなってもうたし。マディとかバケモンやもんな。

サ:え、バケモンですか???



木:大阪のサンケイホールでやってな、もうええ歳やで。マディの歌声はまぁ、(イメージが)あるやんか。で、ギター弾いてんのパッと見たときにタコみたいやった。

サ:タコ???

木:「ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン」てもうここ(手首)フニャフニャや。向こうの人、みんなスナップやわらかいやん。そのボトルのちょっとしたタイミングもあるんやけど、そのちょっとしたタッチな。「うわっ!」って。

サ:へぇー!木村さんでもそう思われたんですか?

木:うん。あれを真似しようとするやつがいたら、アホや。

サ:あー。

木:それぐらい、すごいな。

サ:はー。

木:あのころの人って、バック(バンド)の人もみんなバケモンばっかりやん。なんであんときの人って、みんなあんなにすごいんかなって思うぐらい。エルモア・ジェイムスも超強力やしなぁ。

サ:木村さんが見てもバケモンやと思います?

木:バケモンやで。マディもそうやし、エルモアも、いろんな人いっぱいおるけど、リトル・ウォルターとか聴いてもめちゃめちゃやもんなぁ。悪魔やで。

サ:ガハハハハ!顔もめっちゃ怖いですもんね。



木:顔もそうやけど、音聴いてるだけで、すごい世界観やもんな、、、。

後編につづく。


初掲載:2008.02.29.
加筆、修正:2011.02.11.
2011.02.01 (Tue)
Allen Toussaint
Allen Toussaint

アラン・トゥーサン

The Metersを知ってからは、New Orleansのいろんな音楽を聴いてきたのだが、「Allen Toussaint」のクレジットは本当によく見かける。あるときはピアニスト、あるときはプロデューサー、あるときはソングライターとして、、、。New Orleansの音楽の発展に貢献してきた中の一人というのは間違いのないこと。

New Orleansの音楽の魅力は、なんと言ってもそのリズムの独自性だろう。シンコペイションの効いたそのリズムは、The Metersしかり、Earl Palmerしかり、Professer Longhair、Dr. John、Lee Dorseyもそう!知れば知るほどもっと深く知りたくなるNew Orleansの音楽!気付いたら陽気なビートが溢れる音楽の世界に着いていた!なんていうのはステキなことだ!!!Allen Toussaintが関係している音楽はそういった場所へ導いてくれるだろう。

そんなAllen Toussaintのソロや関係したアルバムをいくつか紹介しよう。

-Southern Nights-


Allen Toussaintといえばこのアルバムを真っ先に挙げる人が多いんじゃないかな。ウルフルズで初めてニューヨークに行ったとき、当時のプロデューサーの伊藤銀次さんも同行されていて、空き時間に一緒にダウンタウンのレコードショップに行ったのだが、オレがこのレコードを手に取ってしばらく眺めていると「サンコン!良いの見つけたねー!そのアルバム、サンコン絶対大好きだよ!」と勧められるがまま買ったことを思い出してしまう1枚。買って良かったぁ!!!75年リリースの超名盤だ!!!

-Life, Love And Faith-


その昔、このアナログレコードはかなりの高額な値段で取引されていたこともあり、なかなか聴く機会がなかったのだが、CD化されリリースされたときは本当に嬉しかった!「Southern Nights」と同じくミュージシャンのクレジットにはThe Metersのメンバーの名前がしっかりと入っている!72年リリースなので「Southern Nights」よりも前の作品なのだが、このアルバムも名曲揃いだ!!!1曲目の「Victims Of The Darkness」から「Electricity」まで、あっという間に終わってしまう!「Fingers And Toes」のドラムはよく練習したなぁ。

-Nightbirds / Labell-


Patti Labell、Salah Dash、Nona HendryxからなるLabelleの74年のアルバム。もちろんプロデューサーはAllen Toussaint。大ヒット曲「Lady Marmalade」が収録されているのだが、この曲のリズムアレンジがまたカッコイイ!このドラムもコピーすると、とんでもなくおもしろいことに気付くはずだ!!!いわゆる「DISCO」のビートとは全く違うのにダンスチューンとして大ヒットしたのが音楽のおもしろいところ!

-Cahoots/The Band-


最後にもう一枚。Allen Toussaintは1曲目の「Life Is A Carnival」のBrassアレンジでこのアルバムに華を添えている!Van Morrisonも参加しているThe Bandの4作目。71年リリース。

ここに挙げた以外にもAllen Toussaintが関係しているレコードは本当にたくさんあるので、興味を持った方はいろいろと聴いてみて欲しい。


2011.02.01.
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