MUSIC

2010.06.01 (Tue)
The Meters ザ・ミーターズ
Arthur "Art" Neville (Organ), Leo Nocentelli (Guitar),
George Porter, Jr. (Bass), Joseph "Ziggy" Modeliste (Drums),


New Orleansの音楽に興味を持つようになったのは、このバンド、「The Meters」に出会ったのが全ての始まりだった。ウルフルズに入ってしばらくした頃、「このバンドええぞ!」と教えてくれたのは、トータス松本氏だったと思う。そのトータス松本氏も先輩ミュージシャンから教えてもらったと言っていたような気がするのだが、当時(1990年頃)は、いまのようにいろんな情報が簡単には手に入らなかったので、先輩(年上)のバンドマンやミュージシャン、ライヴハウスのお兄さん、お姉さん達からの情報は、オレにとっては本当に有り難かったのだ!

そんなことがあり、早速、レコードショップへ買いに行くも、当時、The Metersのオリジナルアルバムは全てのタイトルが廃盤だったのもあり、選ぶ余地もなく買ったCDがこれだった。

-Funky Miracle-


1969年~70年はJosie Recordsというレーベルから、、1972年~77年はReprise Recordsというレーベルからリリースされていて、前者はインストゥルメンタル中心、後者は歌ものが中心という風に分けられる。このCDはまさに前者、69年~70年にリリースされた3枚のアルバムの中から選りすぐられたベスト盤!CD2枚組というのもあり、Josie時代を知るにはこれだけでも足りてしまうほどの名盤だ!

そんな究極のCDに収録されていた曲は、それまでに聴いたことがない音楽だった。「FUNK MUSIC」と呼ばれるものが、何となくだが、James Brownや、Sly & The  Family Stone、Parliamentなどを聴いて、どういうものかわかっていた気になっていたのだが、そんな浅はかな知識をThe Metersは軽く吹っ飛ばしてくれた。一番びっくりしたのが、その隙間だらけの音像だ。派手なホーンセクションが入っている訳でもなく、ギターの音色も歪んでいない。もう、ほんとに隙間だらけと言ったところ。特筆すべきはやはりドラマー、Joseph "Ziggy" Modelisteの叩き出すリズムに他ならない。この人のドラミングは本当に独創的なところがあり、いまも練習している。

そんな頃、偶然にも手に入れることができたのがこのアルバムだった。

-Rejuvenation-


現在でも梅田の高架下にあるショッピングモール"EST"のはずれに、当時「ワルツ堂」というレコードショップがあったのだが(本当によく行っていた!)、そこの「新品再発盤コーナー」で偶然見つけたThe Metersがこれだった。が、ジャケットの雰囲気が上記のアルバムとあまりにも違うので、一瞬「え???」とためらったのを覚えている。家に帰り、針を落としてみると、ほとんどの曲に歌が入っていてまたまたびっくりした!後にこれがReprise時代の大名盤というのを知り納得。そして数年前に、Josie時代のものとReprise時代のオリジナルアルバム、全タイトルがリマスタリングされ、アルバムによってはボーナストラックが追加されて再リリースされたので、是非聴いてみて欲しい。

The MetersがNew Orleansの音楽に興味を持つきっかけを作ってくれたのだが、このバンドのプロデューサーがAllen Toussaintだったというのもとても大きかった。60年代後半から70年代後半くらいまで、当時のAllen Toussaintプロデュースによるシンガーや、Allen Toussaint自身のアルバムでは、バックミュージシャンのクレジットに、ほとんどと言っても良いくらい、The Metersのメンバーの名前が入っている。どれほどの信頼関係だったのかがよくわかる。

-In The Right Place / Dr. John-


1973年のDr. Johnのアルバムだが、プロデューサーはAllen Toussaint、演奏はThe Metersという図式が見事にはまった名盤だ!The Band の解散コンサートの模様を収録した映画「The Last Waltz」で歌った「Such A Night」が収録されているのもこのアルバム。Dr. JohnとAllen Toussaintもいつかきちんとここで紹介したいな。

残念ながら、70年代後半にThe Metersは解散してしまうのだが、その後、リーダーのArt Nevilleは「The Neville Brothers」を結成し、今ではNew Orleansを代表するバンドになっているのはよく知られていること。

しかし、なんといっても、オレにとってはThe Metersのドラマー、Joseph "Ziggy" Moderisteの存在を知ったのがなによりもの出会い!!!

Keep On Strut!!!

2010.06.01.



2010.05.01 (Sat)
Aretha Franklin
アレサ・フランクリン
本名 アレサ・ルイーズ・フランクリン


Aretha Franklinの曲を意識して聴くようになったのは、東京に出てきて数年経った頃、24才のときだった。それまでは、映画「ブルース・ブラザース」に出演していたということと、「Respect」や「Think」などの有名曲くらいしか知らなかった。そんなオレに「Rock Steady」 や「Day Dreaming」、そしてMuscle Shoalsのミュージシャンを教えてくれたのは、当時のウルフルズのプロデューサー、伊藤銀次氏だった(銀次さんにはAretha Franklinだけでなく、いろんな音楽やミュージシャンを教えてもらったことを本当に感謝しています!)。

Aretha Franklinは1942年、ミシシッピ生まれ。まもなくデトロイトに移り住むことに。父親はデトロイトの教会で有名な牧師だったこともあり、小さい頃から教会で歌っていたようだ。1960年にレコードデビューするが、そのゴスペルフィーリング溢れる歌声は、1967年、名門Atlantic Recordに移籍してから、さらに花開くことになる。

ここでは個人的に気に入っているアルバムを紹介しよう。

ーI Never Loved A Man The Way I Love Youー


Atlantic Record移籍後、初のアルバム。当時のプロデューサー、Jerry Wexlerの提案でAlabama州Muscle Shoalsのミュージシャンをバックバンドに起用。これが見事に的中し、以降ヒット曲を次々と生み出して行く。このアルバム以降、その関係は4作ほど続くことに。Aretha Franklinが尊敬してやまないソウルシンガー、Sam Cookeのカヴァーも2曲収録されている。このアルバムの音の質感は大好きだ!収録されている曲も素晴らしい曲ばかり!名盤!

ーLive At Fillmore Westー


どこかで一度は、このアルバムジャケットを見かけたことがある人も多いのではと思う。それくらい有名なこのアルバムは、1971年の3月にサンフランシスコ、フィルモア・ウェストで3日間に渡って行われたライヴコンサートの模様が収められている。すでに大ヒット曲を連発していたAretha Franklinだったが、プロデューサーのJerry Wexlerは白人層(ロック好きの若者達!)にさらにAretha Franklinの歌を聴いてもらいたいという思いから、このコンサートを行ったという。サンフランシスコのこの会場で、黒人のソウルシンガーとファンキーなインストゥルメンタルバンドがコンサートを行うということは、当時では、まず、考えられなかったことだと、ピーター・バラカン氏が下のCDのライナーノーツで語っている。



このCDは当日のライヴコンサートのバックバンドを務めたバンド、「King Curtis & The Kingpins」が、Aretha Franklinが出演する前に演奏していたインストゥルメンタルをまとめたCDだ。こう書くと「前座」のように聞こえてしまうのだが、そこは、 恐ろしい演奏が繰り広げられている!特にDrumsのBernard Purdieの演奏は、もう、謝らずにいられない、、、すいません。

Ray Charlesまで飛び入りしたこの「Live At Fillmore West」 。どちらも歴史的名盤なので是非とも聴いてみて欲しい。


ーYoung, Gifted And Blackー


何度もいろんなところで言っているが、このレコードは本当に大好きなレコードだ!特に頭の3曲は、もう、やられっぱなし。上記のライヴ盤から参加している、Cornell Dupree(Guitar)とBernard Purdie(Drums)に加え、Chuck Rainey(Bass)、Donny Hathaway(Organ,Electric Piano)と伝説のミュージシャンの名演が聴けるこのアルバム。そしてもう一人、伝説のドラマー、Al Jackson Jr.(Drums)もアルバム中、2曲でドラムを叩いているのだが、その1曲がアルバムトップを飾る「Oh Me, Oh My (I'm A Fool For You Baby)」だ。Aretha Franklinの感情を見事にサポートしているその演奏を是非とも聴いてみて欲しい(印象的なベースを弾いているのは「Eric Gale」とクレジットされているけど、あのEric Galeなんでしょうか?)。冒頭にも書いた「Day Dreaming」と「Rock Steady」もこのアルバムに収録されている!超名盤!!!

Aretha Franklinには、今回紹介できなかったアルバム「Lady Soul」や「Amazing Grace」、Curtis Mayfieldがプロデュースした「Sparkle」など、まだまだ名盤、名曲が存在しているので興味のある方は是非とも他のアルバムも聴いてみて欲しい。



2010.05.01.
2010.04.01 (Thu)
James Brown
ジェイムズ・ブラウン
本名 ジェイムズ・ジョセフ・ブラウン・Jr.


初めてJames Brownの音楽を聴いたのは高校生の頃だった。オレには兄が二人いるのだが、一番上の兄の部屋から聴こえてくる音楽は、あるときはアリスだったり、そう かと思えば、LoudnessやScorpionsが聴こえてきたり、かと思えば、A.R.B.やThe ModsやThe Roosters、そして1週間後にはNew Orderが大音量で聴こえてきたり、といま考えるととても面白い環境だった。

そんな中、いままで聴いたことのなかった60年代のリズム&ブルースが聴こえてくるようになり、Otis ReddingやSam Cooke、Solomon Byrke、Don Covayと名シンガーの名曲が詰まった編集テープがよく聴こえてくるようになった。この時期の音楽経験が、いまの自分の音楽的な基礎に なっているのは間違いのないことだ。そのカセットテープの中に、James Brownの「Try Me」も収録されていた。映画「ロッキー4」の大ヒットで当時流行っていた「Livin' In America」のようなド派手なパフォーマンスこそないものの、「Try Me」という曲は、リズム&ブルースやソウル・ミュージックに興味を持ちはじめた普通の高校生をノックアウトするには十分すぎる曲だった。

James Brownのイメージというとやはり「Cold Sweat」や「I Got You」、「Sex Machine」、などファンキーな曲のイメージが真っ先に浮かぶと思うのだが、「Try Me」などに代表されるバラードの名曲も数多く、ここで、シングルカットはされてはいるがあまり知られていない名曲を紹介してみよう。

「Just Won't Do Right」
Album-    Please, Please, Please
  The Singles Vol.3
  The Singles Vol.7(メインVo.はLyn Collins)

「この曲はもっとヒットするはずだった」と、自身の自叙伝「俺がJBだ!」にも書いている通り、素晴らしい名曲だ。とは言うものの、オレもこの本を読んで から聴き直した一人です。すいません、ブラウンさん。「ビッグヒットになったはずだが、いろいろなことがうまくいかなかった」というのと 、James Brown本人も強い思い入れがあって、この曲はJames Brownの音楽人生の中で、合計5回も録音されているとのことだ。しかしオレが知っているのは3バージョンだけ。あとの2つはどんなんなんやろか?どのバージョンも好きだが、やはり最初に吹き込まれたものを一番よく聴いている気がするなぁ。

「You've Got To Change Your Mind」
Album- I Can't Stand Myself
  Singles Vol.5

この曲はもう、本当に本当に、本当に名曲だ!収録されているアルバム「I Can't Stand Myself」が一番好きな理由も、この曲が入っているからとも言えてしまうくらい大大大好きな曲!!!盟友Bobby Byrdとのデュエットというスタイルで進んで行くのだが、ハイライトはなんと言っても、Otis ReddingやSam&Daveの曲のタイトル、自身の曲のタイトルを歌詞に盛り込んでBobby Byrdとの掛け合いになっていくエンディング!何度聴いても胸が熱くなってしまう名曲だ。

ここでその大名盤も紹介することに。


ーI Can't Stand Myselfー


アルバムタイトル曲は高校生の頃に初めて 聴いて以来、いまだに練習曲の一つに入っている。この曲のバックを務めるのはナッシュビル出身のThe Dappsという白人のバンド(彼らがバックを務めた曲はこの曲以外にも多数存在)なんだが、 この曲は数々のヒット曲と違い、ドラム、ベース、ギター、オルガンととてもシンプルな楽器構成で成り立っており、 ホーンセクションが全く入っていないというのもあって、James Brownがロックバンドをバックにシャウトしているようにも聴こえてくるのがおもしろい!(この曲のコンプリートバージョンが「Foundations Of Funk~A Brand New Bag: 1964~1969」で聴ける)「When Did You Take Your Love Away From Me」もおそらくこの編成で録音されていると思われる。他にも「Get It Together」や「There Was A Time」、ファンキー・インストゥルメンタル「Soul Of J.B.」(2009年、Great Meeting 3で演奏した!)も収録されている。「Time After Time」はアナログ盤とCDではバージョンが異なっているのはなんでだろう。

ーIt's A Motherー


実はこのアルバムの存在を知ったのは、つい数年前。レコードは高すぎたし、CD化もずーっとされてなかったのもあって、全然聴いていなかったのだが(すい ません、言い訳です)、いまのいままで聴いていなかった自分を本当に後悔しまくった素晴らしいアルバム!なんせ、1曲目の「Mother Popcorn」を聴いたときは気絶するかと思った!!!!!(CD Box Set「Star Time」には、この曲のコンプリートバージョンが収録されている!)ドラマーはファンキー・ドラマーこと、Clyde Stubblefieldだ。「Cold Sweat」や「I Got The Feelin'」、「Funky Drummer」などJames Brownのイメージする、「ファンキー・ミュージック」を発展させる上で、素晴らしいドラムを叩いたドラマーだ。この人がいなかったら、いまの音楽は もっと退屈なものになっていたんじゃないかと思わせるくらい、重要なことをしてきた人だとオレは思っている。そんなClyde Stubblefieldのスーパープレイがこのアルバムでは存分に堪能できる。しかし厄介なことに、現時点では、またもや入手困難になっているのが実に 悲しいことだ。


ーIn The Jungle Grooveー


このアルバムは1986年に編集されたものなので、オリジナルアルバムではないのだが、内容は本当に素晴らしい!先ほど紹介したファンキー・ドラマー、 Clyde Stubblefieldに加え、John "Jabo" Starks、それにMelvin Parker(Sax奏者、Maceo Parkerのお兄さん!)とJames Brownには欠かすことのできない3大ドラマーのプレイが、この1枚で感じることができる!サンプリングされまくった「Funky Drummer」が収録されているのもあり、このアルバムはいまだに大人気だ。William "Bootsy" Collinsを筆頭とした、オリジナルJ.B.'sの演奏も存分に感じて欲しい。現在はジャケットもカラーになり、1曲追加されたものがリリースされて いる。


2006年の12月に天国に旅立ってしまったJames Brown。

「The Godfather Of Soul」の残してくれた偉大な曲の数々は、永遠に受け継がれていくのは間違いのないこと。

2010.3.31.



ー 参考文献ー
・ジェームズ・ブラウン自叙伝
「俺がJ.B.だ!」 ジェームス・ブラウン ブルース・タッカー著

・レコードコレクターズ増刊 
「ジェイムズ・ブラウン〜永遠のファンキー・プレジデント〜」 
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